続パスカルの葦笛のブログ

FMラジオやテレビやCDのクラシック音楽の放送批評に特化したブログです。

もうフルトヴェングラーっ子とは云わせない。バレンボイム指揮ベルリン国立歌劇場管弦楽団のブラームス4番(2)

まだフルトヴェングラーが生きていた年代、ザルツブルグのマルケヴィッチの講習会に出席したバレンボイムはブロムシュテットと出会った。子供のバレンボイムは同僚から相手にされなかった。一人前に相手にしてくれたのがブロムシュテットだった。その彼は92歳でまだ現役の指揮者だ。そして有名な指揮者になれたのも2人だけだった。


どこかて聞いた話だと思っていたら、クナッパーツブッシュとフリッツ・ブッシュだった。シュタインバッハの教室に入ると、正規の大学卒のクナと最年少のブッシュがいた。あまりにも年少のブッシュは先生から相手にしてもらえず、大卒のクナはなにかと重用された。有名になったのは2人だけで、他の音楽学生はドイツの典型的なカペルマイスター、つまり拍子打ちにしかなれなかった。


人に栄枯盛衰ありだが、バレンボイムは若くして王道を闊歩して歩いて、ブロムシュテットは周辺で活躍しながら王道に押し出され尚且つ歩いている風情がある。


第二楽章。
バレンボイム指揮ベルリン国立歌劇場管弦楽団の演奏で、特徴的なのは低弦の強調であろう。レオ・ブレッヒ以来のベルリン国立歌劇場管弦楽団の特長なのかも知れない。


15小節、30小節、51小節、56小節でそれがひしひしと感じられる。76小節の低弦などもずしんと重く感じられ荘厳である。


驚くべきは、83小節の2つの8分音符にリテヌートを掛けてテンポを落としたことだ。
ここでリテヌートを掛けているのが、シューリヒト指揮バイエルン放送管弦楽団であった。そしてバレンボイム指揮ベルリン国立歌劇場管弦楽団の演奏であった。バレンボイムは長年のフルトヴェングラーの影響を卒業し、シューリヒトにシフト・チェンジしたわけだ。何と素晴らしい変化と言うべきであろう。


コーダの116小節のテインパニの連打にもきらりと光ったものがあった。
こんな機微のひだにも細心の注意を払った。連打の最後をたれ流さないで独立した音にしたのは、上位のホルンの8分音符を意識した処理なのだろう。匠の技と言いたい。