続パスカルの葦笛のブログ

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ヤノフスキ指揮NHK交響楽団のブラームス1番

ヤノフスキのブラームス交響曲1番は、ドイツの正統派の演奏を披歴するというよりは、結構独自の解釈を前面に出したものであった。(2024・4・13)


その最たるものは第一楽章のコーダに現れた。
495小節「メノ・・アレグロ」のホルンの強調は歴然としていた。楽譜はpだが、ヤノフスキは505小節までfで強調しながら、一貫してホルンだけを浮上して演奏させていた。

今回のヤノフスキの演奏では、なかなか正統派の伝統的な演奏とヤノフスキの独自性では対立を見せていたが、ここはとりわけヤノフスキの独自性が勝った演奏になっていた。


第二楽章。
34小節の低弦の強調(f)では、ヤノフスキと飯守泰次郎が共通した解釈を見せた。甲乙つけ難い名演であった。

ヤノフスキと飯守泰次郎はブラームスの1番では個性的な解釈を披露して独壇場の感があった。


第四楽章。
ここでは「あっ」と言わせる解釈に出会った。
183小節のチエロとコントラバスにヤノフスキは驚くべき解釈を見せた。

ヤノフスキ指揮N響の演奏は183小節であくどい音響を披露して驚かした。


実はマルテイノン指揮日本フィルの幻の名演が同じなのだ。この洒落たフランス人指揮者が何でこんなあくどい解釈をするのか不思議でならないのだが、あまりに伝説的な名演ということでレコードになっている。そうしてみるとマルティノンの個性ではなくヨーロッパの伝統にこの解釈があることが判明する。


ヤノフスキとマルティノンの異常な解釈をはからずも体験した次第である。


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さてもう1つ、飯守泰次郎指揮仙台フィルの名演があるのだが、ヤノフスキ指揮N響をききながら、飯守泰次郎はヤノフスキに少しも負けていない演奏を反芻していた次第である。