続パスカルの葦笛のブログ

FMラジオやテレビやCDのクラシック音楽の放送批評に特化したブログです。

2022年8月のブログ記事

  • 東海林太郎の『冬の旅』

    東海林太郎(1898-1972)の『冬の旅』は天下一品であったと、音楽評論家の野村光一は評していた。「なにしろ戦前ドイツ歌曲を学んだ人でヒュッシュの歌唱を範とし、勉学の目標としなかった人は皆無にひとしいと言える位であった」(福原信夫)から、東海林太郎の歌唱もヒュッシュを範にしたものであろう位は想像... 続きをみる

  • ナチスの退廃芸術とゲルハルト・ヒッシュ

    ワイマール共和国の混乱を受けて、ナチスは退廃芸術の粛清に向かいました。理想国家の立て直しがもっかの目標で、その際ハイデガーは大学は総統への絶対奉仕以外にありえないと演説をしました。 この頃ゲルハルト・ヒッシュも音楽奉仕を行い、ナチス党歌『鉤十字の歌』や『ハーゲンクロイツの歌』を吹き込み、新生国家の... 続きをみる

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  • 実は恐ろしいシューベルトの世界

    ドイツの有名なバリトン歌手ゲルハルト・ヒュッシュは、ドイツでは余りにも悲惨な内容なので『冬の旅』は録音拒否にあい、リサイタルや音大の教授で訪れた日本でようやく『冬の旅』が録音出来たと言われている。 日本で録音されたゲルハルト・ヒュッシュの『冬の旅』で、伴奏ピアノは何とマンフレッド・グルリットという... 続きをみる

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  • シューベルト『白鳥の歌』と梶井基次郎『Kの昇天』の関係

    シューベルトと梶井基次郎の関係を、具体的な相関関係で見てゆこう。 シューベルト「海辺にて」「影法師」        梶井基次郎『Kの昇天』 1表題「海辺にて」               私はKをN海岸で知った。  小説の場所設定は海辺ということで、決定的に「海辺にて」の影響があった。 2夕方・月... 続きをみる

  • 梶井基次郎とバリトン歌手ハンス・ドゥハン、名作『Kの昇天』を生んだ。

    戦前オーストリアのバリトン歌手ハンス・ドゥハン(1890-1971)は、シューベルトの歌曲集『白鳥の歌』をレコードの全曲盤として初めて吹き込んだ歌手として知られている。そして何と1997年に新星堂プロデュースとして復刻されていた。(SGR-8217)今でもヤフオクとかメルカリに商品が登場し、最も入... 続きをみる

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  • 梶井基次郎の『Kの昇天』の歌手は誰か?

    梶井基次郎は『Kの昇天』で、シューベルトの歌曲が好きで、口笛で演奏できるくらいになった。歌曲集『白鳥の歌』の12曲「海辺にて」13曲「影法師」(ドッペルゲンガー)の2曲であった。これらのSPレコードを所蔵し愛聴していたらしい。 『Kの昇天』は、N海岸を散歩していると自分そっくりな人物を目撃して衝撃... 続きをみる

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  • ワインガルトナーの考証の凄さ『レオノーレ』序曲2番にホストホルン使用

    今ユーチューブで、クレンペラーの『レオノーレ』序曲3番のフィルハモニア盤とデンマーク放送響盤と立て続けに堪能した次第で、ワインガルトナーの演奏が思い出された。 ワインガルトナーの演奏の凄い点は、ホルンではなくポストホルン(駅馬車の警笛)で演奏していりところだ。モーツアルトはポストホルンの為の音楽を... 続きをみる

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  • あらゆる『ジュピター』の最高峰クレンペラー指揮ウィーン・フィルの『ジュピター』1968ライブ

    クレンペラーのモーツアルト交響曲41番『ジュピター』は定評のある名演だが、1968年ウィーン・フィルのライブは、数多ある『ジュピター』演奏の最高峰に躍り出たと言える。 この頃モーツアルトといえばカール・ベームが最高峰の演奏を示していたわけであるが、クレンペラーの演奏が終わった瞬間のウィーンの聴衆の... 続きをみる

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  • 驚異の90歳現役指揮者三石精一

    指揮者の三石精一(1932-)は今年90歳で、なんと2022年1月30日に東京芸術劇場で指揮をしていた。 プログラムは、チャイコフスキー幻想序曲『ロメオとジュリエット』、グラズノフバレエ音楽『四季』Op67より秋、ショスタコーヴィチ交響曲5番。三石精一指揮東京大学音楽部管弦楽団。         ... 続きをみる

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  • あなどれない指揮者ユロフスキイ指揮ロンドン・フィルの『エロイカ』

    ユロフスキイの来日に合わせて、来日記念盤として発売されたのが、ベートーベン交響曲3番『エロイカ』で、オーケストラはロンドン・フィルである。ロンドン・フィルの自主製作で2014・1・22のライブ録音である。 とはいえ第3楽章までは無音で多分ゲレラルプローベを録音し、第四楽章が演奏会のライブ録音である... 続きをみる

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  • 指揮者マリオ・ヴェンツァーゴ年譜考

    マリオ・ヴェンツァーゴと言っても余り知らないでしょう。ということで、指揮者と明記してみました。一部では知られた指揮者ですし、去年来日して読響を指揮して、得意のブルックナーの3番を指揮しました。34年前にはNHK交響楽団を指揮し、近年NHK・FMでライブも紹介されたので、全く未知の指揮者というわけで... 続きをみる

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  • ケント・ナガノ指揮ベルリンドイツ交響楽団ニコライ・ルガンスキーのブラームスピアノ協奏曲2番

    ヴィルティオーゾ・ピアニストによる協奏曲、特に異はないわけだが、楽譜を改編しないケント・ナガノが大胆にも第一楽章のクラリネットをホルンに変更して演奏させていたのには驚きを隠せない。 ギュンター・ヴァントのリハーサルに参加して、ドイツの伝統的解釈に増々接近しているケント・ナガノは、とうとうドイツの伝... 続きをみる

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  • 小澤征爾の立ち位置にいるチョン・ミヨンフム、後に誰もいない

    2022年小沢征爾は86歳である。大層な高齢である。岩城宏之が没した頃、人は80歳を超えるのは結構大変なもので、その頃やはり大病をしていた小沢征爾の80歳越えが危ぶまれたが、また一山超えた活躍があった。ウィーン・フィルのニューイャー・コンサートの招聘はそういう名誉の一つであろう。CDが100万枚売... 続きをみる

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  • 安倍晋三さんのアバンギャルド人生伝

    山口県長門市に大津聖人と呼ばれた男がいた。村長をしていたが徳が高く、周囲の者から押し出されるように代議士にされた。時代は軍国主義が幅を利かせていたが、この男は反戦平和を唱え、国民党政府を相手とせずという近衛声明に反対して反戦平和を推進しろと迫ったのである。大政翼賛選挙では非推薦八人衆の一人として当... 続きをみる