続パスカルの葦笛のブログ

FMラジオやテレビやCDのクラシック音楽の放送批評に特化したブログです。

続パスカルの葦笛のブログの人気ブログ記事

  • ロンドン交響楽団とロンドン・フィルの違い

    オーケストラに呼び名・呼称を付けると、シンフォニーとフィルハーモニーの2種類に分類できる。その違いは成立時に音楽家が自主的に寄り合って作った団体が協同組合(フィルハーモニー)だからだという。まさしくウィーン王立歌劇場の楽団員が日々の公務の合間に自主的に集まって演奏した団体の呼び名がウィーン・フィル... 続きをみる

  • エッシェンバッハ指揮NHK交響楽団のブルックナー7番

    今夜のN響ライブ放送の圧倒的な喝采に、躊躇せざるを得ないのであるが、エッシェンバッハ不調説を唱えたい。 第一楽章、199-122小節の金管の曖昧模糊なテンポの落とし方に賛成できかねた。 今回のエッシェンバッハのポコ・リタルランドは、奇しくもハイテインク指揮ウィーン・フィル(2019・8・31)と同... 続きをみる

  • 装飾音符を演奏したリーニフ指揮プラハ・フィルハーモニアのモーツアルト38番

    オクサーナ・リーニフ(1978-)が楽譜にない装飾音符を演奏したことで古楽器派のモーツアルト指揮者であることが判明した。かつ大変な名演であった。 第一楽章。 121-123小節のホルンはf明記ながら、アンスネスとリーニフはこのfをそれ以上に強調していたところで、並みの指揮者でない頭角を現した。 2... 続きをみる

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  • ホーネック指揮チェコ・フィルのチャイコフスキー5番

    1-3楽章は空振りといったところか。第四楽章、狂気から生み出されたホーネックの独自な解釈が生まれた。 Poco piu animatoを狂気に満ちた熱情と解したホーネックは漫画的な速さでアッチェレラント(加速)で演奏した。 ホーネックは296-307小節まで、狂気的な速さで演奏させると、308小節... 続きをみる

  • ヤノフスキ指揮NHK交響楽団のブラームス1番

    ヤノフスキのブラームス交響曲1番は、ドイツの正統派の演奏を披歴するというよりは、結構独自の解釈を前面に出したものであった。(2024・4・13) その最たるものは第一楽章のコーダに現れた。 495小節「メノ・・アレグロ」のホルンの強調は歴然としていた。楽譜はpだが、ヤノフスキは505小節までfで強... 続きをみる

  • ローカル色満載ポペルカ指揮プラハ放送響のドボ8番

    ペトル・ポペルカ(1986-)はウィーン響を解任されたエストラーダの後任になった人だ。余程の実力のある人と見たが、ローカル色満載でドボルザーク8番を指揮した。それはCD録音でよく聞く演奏とは異なって、異色な演奏となった。 小生はマンフレット・ホーネックを天才と崇めている信者なのであるが、ポペルカの... 続きをみる

  • ブルックナー指揮者ワルベルクの足跡

     ワルベルク指揮デュースブルグ・フィルのブルックナー5番(2004・2・21~22)。  2004年9月29日に没したワルベルクの音楽的遺言となった。 ワルベルク(1923-2004)は隠れたブルックナー指揮者でもあった。長い生涯の始めから終わりまで一貫してそうだった。後家の一徹という言葉があって... 続きをみる

  • 生誕百年ワルベルク指揮NHK交響楽団のブラームス3番

    ハインツ・ワルベルク(1923-2004)は今年生誕百年の記念年である。忘れる者は日々疎しというが、ドイツでも日本でもほぼ忘れかけているといっていいだろう。 調べてみたら、没年の2004年2月28日にN響を指揮し、9月29日に81歳で没した。1966年に初来日したプログラムと同じものを指揮したとい... 続きをみる

  • サリンジャー『ライ麦畑でつかまえて』と「完全なる問題作」(NHK)

    その作品は善か悪か。人々の議論を巻き起こす問題作に迫るドキュメンタリー。「キャッチャー・イン・ザ・ライ」。世界的ベストセラーは何故全米で禁書処分を受けたのか?(NHK) 暴力的な描写や不道徳な表現、ジョン・レノン殺害の犯人やレーガン大統領暗殺未遂の犯人が愛読していた『ライ麦畑でつかまえて』は問題作... 続きをみる

  • 作家以前の西村賢太

    作家以前の中上健次は羽田空港の公務員をしていた。明大を中退して浅草の芸人になった北野武は、アルバイト人夫で羽田空港に働きに行って、作家以前の中上健次と出会った。北野武は口をつむんでいるが、察するに威高々な振る舞いであったらしい。公務員と人足稼業では対等でないというわけだ。 中卒の西村寛太は背広とア... 続きをみる

  • 驚異の90歳現役指揮者三石精一

    指揮者の三石精一(1932-)は今年90歳で、なんと2022年1月30日に東京芸術劇場で指揮をしていた。 プログラムは、チャイコフスキー幻想序曲『ロメオとジュリエット』、グラズノフバレエ音楽『四季』Op67より秋、ショスタコーヴィチ交響曲5番。三石精一指揮東京大学音楽部管弦楽団。         ... 続きをみる

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  • 侮れないクレメンス・クラウス指揮VPOの『ジュピター』

    この人は何故VPOに持てるのか不思議でならない。ワーグナーの『指環』など噴飯ものだろうが、どういう意味で重用されるのか不思議でならない。 さて、面白いのは東西で、モーツアルト嫌いの貴族で、ウィーンで観劇日記を残していて演目が貴重なモーツアルト資料になっているのだが、大名で歌舞伎の膨大な観劇日記を付... 続きをみる

  • NHKスペシャル『未解決事件下山事件』とジャーニー喜多川

    1949年『下山事件』が起きて、70年が経過して下山事件も風化して、分かったことがある。もう少しも重大事件でなくなった。そこで初めてNHKは大胆にもアメリカの謀略だと断定したことである。 西武の堤清二と柳田邦男との対談で、堤は共産党員の在籍と細胞活動からアメリカの謀略を認め、柳田邦夫は断固否定した... 続きをみる

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  • ヤッシャ・ハイフェッツとポンセ『エストレリータ』考

       すでに戦前に発売されていたSP盤『エストレリータ』のレコード。 偏愛の巨匠ヤッシャ・ハイフェッツ(1901-1987)は、世に偏食という偏った食品が好きでそればかり食べる人がいるが、下品と評されても一向に気にしないで愛し続けた音楽があった。偏愛の巨匠だった。 ナチス時代帝国音楽院総裁という要... 続きをみる

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  • 芥川龍之介の『玄鶴山房』と黒歴史

    『韓非子』に玄鶴の故事がある。春秋時代に衛の霊公が旅先の宿で琴の音を聞いて眼が醒めた。たえなる音楽に感動して、楽人を呼んで採譜させたのである。普の平公に会った時、この話をして演奏させた。平公はこれは亡国の歌で最後まで演奏してはならないといった。周の武王が殷の寸王を討伐した時追われて入水自殺をした時... 続きをみる

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  • 独創的だったデュフレーヌ指揮東京フィルのベルリオーズ『幻想』交響曲

    女性新人指揮者のクロエ・デュフレーヌ(1991-)の『幻想』は独創的な響きが随所で聞こえた。東京フィルに初登場であるそうだ。 第一楽章、「夢・情熱」で、490小節。 490小節のテインパニは、楽譜は8分音符2つになっているが、フランスの伝統では4分音符1つで打つようである。フランス人のデュフレーヌ... 続きをみる

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  • テイーレマン指揮ウィーン・フィルの『美しき青きドナウ』

    2025年のウィーン・フィルのニューイヤーコンサートはとんだハプニングに襲われた。 1月1日の能登地震で、テレビもFMも中止で、1月6日のテレビの再放送が本番になってしまった。しかし指揮者ティーレマンは日々新しかった。2019年の一回目に2025年は更なる進化が認められた。 ティーレマンは2000... 続きをみる

  • バレンボイム指揮ベルリン・フィルのブラームス2番

    バレンボイム指揮ベルリン・フィルのブラームス2番(2023・1・6)の演奏。 バレンボイムはその月末に健康が優れず事実上の引退表明をした。ところがその後体調が好転して仕残りの仕事をする、その一つが今秋にベルリン国立歌劇場管弦楽団でブラームスの交響曲の全曲演奏会を行う予定であるらしい。 これはどうも... 続きをみる

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  • 『思想と実生活論争』とトルストイ夫人の成長史

    ここでいうトルストイ夫人とは文豪トルストイの妻のことではなく、小林秀雄とトルストイの家出で論争した正宗白鳥の妻のことである。白鳥がトルストイでその妻がトルストイ夫人かどうかは、今は不問に伏す。しかし白鳥がトルストイでツヤがトルストイ夫人という関係であることは、文脈上で繋がりがある。「女は弱し、され... 続きをみる

  • 大江健三郎と成田三樹夫は同年同月同日生まれで同じ東大生

    怪物俳優成田三樹夫は山形大学中退という経歴は知られていたが、その前に東大中退だったらしい。さらにノーベル文学賞の大江健三郎とは東大の同級生だったか。 3月3日、大江健三郎は88歳で老衰で死去された。とすると同じ年の成田三樹夫も88歳だったのだ。生きていてもおかしくない。感慨がある。 大江健三郎(1... 続きをみる

  • 大野和士指揮東京都交響楽団ブルックナー3番(4月3日ライブ)

    4月3日ライブというと今日です。まだライブになっていません。今から19時間前投稿というと、4月2日4時ということになります。午前のリハーサルということになりますか。 面白いですね。4月3日午後7時サントリーホール開演の演奏を一足先に耳にしました。といことで、一足先に大野和士指揮東京都交響楽団でブル... 続きをみる

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  • 連続テレビ小説『ブギウキ』最終回と笠置シズ子の時代

    今日で『ブギウキ』最終回となりました。笠置シズ子の死まで演じられるのかと思ったら、意外でした。ブギウキの女王として戦後闇市、まさにオキパオト・ジャパン占領下の日本を代表する歌手でした。 笠置シズ子のものまねで出てきた美空ひばりに、歌手の座を奪われる笠置シズ子は喜劇女優として映画に転じるわけです。美... 続きをみる

  • ズガン・ソヒエフ指揮NHK交響楽団のベートーベン3番

    実に考え抜いた楽譜の使用があった。基本は今では旧態依然のブライトコップ版が使用されていた。どういう気なのかと思わないでもないが、第二楽章では最新のベレンタイター版が一部採用されていたから、最新の流行を気にしていないわけでもない。第四楽章では何とフィルハーモニア版の楽章が採用されて、尻上がりに盛り上... 続きをみる

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  • 「疾走するモーツアルト」デュメイ指揮関西フィルの40番

    まさか小林秀雄の「モーツアルト」がフランス人に影響したとは思わないが、遂に「モーツアルト」の評論のテーマらしい演奏が現れた。それがデュメイ指揮関西フィルの40番の演奏だった。 とりわけ40番の第一楽章の疾走するト短調の主題は小林秀雄の思いをデュメイが解して演奏したとしか思えない「疾走する悲しみ」を... 続きをみる

  • 追悼・飯守泰次郎指揮仙台フルのブラームス1番空前の大爆発

    2023年8月15日、飯守泰次郎が死去されたようである。82歳の長寿、ここ十年の円熟した指揮活動、4月にはブルックナー4番を指揮し、慶賀に耐えない晩年であった。 ここで思い出すのは、飯守泰次郎が仙台フィルを指揮したブラームス交響曲1番の演奏ではなかったか。(2020・2・14)数々の名演があったわ... 続きをみる

  • 太宰治『千代女』と女流作家豊田正子の予言

    太宰治にこれほどポレミック(論争的)な小説はない。素材は「綴方教室」で一世を風靡した豊田正子がモデルということは確定している。投稿雑誌『青い鳥』は鈴木三重吉の『赤い鳥』がモデルも確定している。なにを今更作文の豊田正子をモデル小説に書いたのか、疑われる。本音は第一回芥川賞の選考会だ。文壇を疑似文壇た... 続きをみる

  • 中森明夫大杉栄論(アナーキー・イン・ザJP)

    今日は関東大震災から百年、と同時に大杉栄没後百年記念日である。 中森明夫の小説『アナーキー・イン・ザJP』は、大杉栄が登場する小説で、大杉栄没後百年(1923ー2023))ということで、5月12日(金)のNHKラジオの「高橋源一郎の飛ぶ教室」に中森明夫が招かれ、彼の大杉栄論が披露された。彼の命日9... 続きをみる

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  • バート・バカラックとダリウス・ミヨー

    バート・バカラック(1928-2023)が2月8日94歳で亡くなった。92歳の時日本のテレビ局が取材に行くとインタビユーに答えてくれた。養老院のようなところだったと思う。それでフランスの作曲家ダリウス・ミヨーに作曲を学び、下手に勉強して個性を失うより、自分の個性を成長させた方が良いと偉大な助言を貰... 続きをみる

  • ウェルザー=メスト指揮クリーブランド管弦楽団でシューベルト交響曲8番

    第三楽章が濃厚な解釈があった。ゼッキ・ワルター・マーグの影響下に圧倒的な巨匠性を顕示したといえよう。 第一楽章。 94小節に入るや、ダイナミクスの強化といいテンポのアッチェレラントを掛けて速さの凄みを見せた。この手法はカルロ・ゼッキ指揮チェコ・フィルの演奏であった。 さて、201小節のトロンボーン... 続きをみる

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  • 渡辺京二の世界ーこざかしいこと言うな。これは浪花節だ

    渡辺京二(1930ー2022)は年末の12月25日に92歳で逝去された。若くして吉本隆明に師事し、日本人の原像を追い求めた吉本隆明は、『共同幻想論』で恥ずかしい日本人に到達します。俳優藤田まことに『共同幻想論』を見て、色紙を求め書斎に飾っていたようです。 1970年、厚生省で石牟礼道子や渡辺京二は... 続きをみる

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  • バイロイト音楽祭を訪れた日本人(6)小泉純一郎

    5小泉純一郎(1942-) 言わずとも知れたわが国の首相だった人です。選挙区の郵便局長の横暴があり、郵政大臣として役人にソッポを向かれ、一日大臣室でオペラのCDを聞いて帰って行った。この恨みが郵政改革の宗旨返しになった。忍耐力・クラシック音楽好き等々、平均的日本人にない特異な体質がある。  同じ首... 続きをみる

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  • 何故彼らはブルックナー4番初稿版1874年版に憧れるのか

    2024年ブルックナー生誕200年記念年、驚くべきことはかくも1874年版初稿版の録音の多岐な数に及ぶことだ。 再度注意喚起すれば、この指揮者たちには新旧2派に分かれる。全く年齢による分類なのだが、新旧両派にまたがるのがエリアフ・インバルで、この人が又初稿版1874年版を最初に録音した指揮者でもあ... 続きをみる

  • スタインバーグのブルックナー4番の盤歴

    スタインバーグ(1899-1978)のブルックナー交響曲4番の最初の録音はピッツバーグ交響楽団で、1956・4・19というデーターが残っている。多分ピッツバーグ交響楽団はブルックナーの交響曲を演奏するのは初めてのようで、困難を極めた練習の光景がドキュメントで残されている。アンディ・ウォホール(19... 続きをみる

  • 追悼小沢征爾、国民から広く深く愛された指揮者

    1995年小沢征爾60歳の還暦記念に、当時日テレの人気番組『電波少年』で松村邦洋は赤い燕尾服を小沢征爾に送った。律儀にも小沢征爾は赤い燕尾服を着用した写真を番組に送ってきた。世界の小沢は松村邦洋ですら知っていた。こういう人は二度と現れない。 2024年2月9日の7時のNHKテレビで、2月6日指揮者... 続きをみる

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  • ルイージ指揮NHK交響楽団のハイドン交響曲100番『軍隊』

    なかなかユニークな解釈があった。基本的にはアルノンクールの演奏が投影されていた。 第一楽章の62-67小節の金管の強調はアルノンクール指揮南西ドイツ放送響の演奏を踏襲したものだった。 アルノンクールの場合にはsf(スフォルツアンド)だったがルイージではfか。 こういう例は104小節の低弦で楽譜はp... 続きをみる

  • 林芙美子とマーラー、クラシック音楽を理解した唯一無二の女流作家

    クラシック音楽は日本人にとっては敷居の高い分野である。樋口一葉から川上弘美にいたるまでの近代日本の女流作家で、クラシック音楽を理解した唯一無二の女流作家になれたのは林芙美子であった。最もブルジョワ的で高尚な分野、知識では分かっていても感性が従属して生じる音楽性は厄介な代物である。 音楽家に成りたい... 続きをみる

  • オーバードーズ文学の先駆者尾崎翠とその脱出記

       群ようこ『尾崎翠』伝、残念ながらオーバードーズの問題意識がなく、    単なる文学表現としか第七官界を見ていない。 尾崎翠(1896-1971)は常用薬物で幻覚症状におそわれる。幻覚症状と頭痛と耳鳴りに悩まされる。その中で暗中模索で探し求めたのが幻想的な事物の去来であった。それを熱心に書き集... 続きをみる

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  • ズッカーマン指揮東京フィルハーモニーのベートーベン7番

    音楽家が指揮者に転向する話はよくあるが、さりとてプロの指揮者に転向するでもなく、というのはあまり類例がない。前にオイストラッフがあるくらいだ。ズッカーマンもさりとてプロの指揮者に転向する意欲はないようだ。 昨今指揮科を卒業してそのまま指揮者になり、オーケストラの中でバイオリン奏者の立場からすると、... 続きをみる

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  • 今年最大の名演マリン・オルソップ指揮スウエーデン放送響のショスタコ5番

    マリン・オルソップ指揮スウエーデン放送響のショスタコーヴィッチ交響曲5番の演奏である。(2023・2・3)まだ今年の演奏である。今年の最大の名演であろう。 逆境を跳ね除けた交響曲(通説)、あるいはホーネックはショスタコーヴィッチは5番で新しい手法を発見したのだという。音楽を二重構造にして、表面上は... 続きをみる

  • アルティノグリュ指揮フランクフルトhr響のマーラー4番

    アルティノグリュ指揮フランクフルトhr交響楽団ソプラノ独唱はチェン・ライスで、マーラー交響曲4番の演奏である。アルティノグリュ(1975-)は2021年から首席指揮者に就任している。 第一楽章。 57小節の第一バイオリンで、アルティノグリュはテヌート記号の付いた2つの音符にポコ・リテヌート(少しテ... 続きをみる

  • 緊急報告!洒落たことやってくれましたリン・ダーイエのブルックナー

    第四楽章、76小節でリン・ダーイエが何とシンバルを演奏しましたよ。洒落たことしてくれましたね。 まあ一般的には現在ほとんどしませんよね。フルトベングラーやクナッパーツブッシュを知らないわけではない。ブロムシュテット指揮ウィーン・フィルは改訂版はしたくないので、テインパニでその効果を出した。 リン・... 続きをみる

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  • 西部邁と「孤高の指揮者宇宿允人」

    保守論壇の巨星西部邁が、自分の番組で「孤高の指揮者宇宿允人」を特集している。宇宿允人(1934-2011・3・5)の没後百日で追悼番組をした。個人誌『発言者』で西部は宇宿允人を招いて、対談をしたのが最初で、5回ほど演奏会を聞いた仲になった。 宇宿允人が2011年3月5日に76歳で死に、7月に追悼番... 続きをみる

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  • アレホ・ペレス指揮第二国立劇場のヴァーグナー歌劇『タンホイザー』

    アレホ・ペレス(1972-)指揮のヴァーグナー『タンホイザー』はヴァッカナーレ連結のパリ版が使用されていた。出演者結構長いフレーズで歌っていたのが一番気になった。これが一番特長的だったか。 ヴァーグナーの『タンホイザー』(1845)がハイネの『タンホイザーの歌』(1836)『流刑の神々』(1852... 続きをみる

  • ヤクブ・フルシャ指揮NHK交響楽団のブラームス交響曲4番

    大変な熱演、力演であったようだ。 それはさておき、一点第三楽章で注目すべき解釈があったことだけは言及しておこう。 88小節のテンパニで、クレッシェンドを掛けていたことだ。 ここでシューリヒト、バーンスタイン、バレンボイム、そしてフルシャなどがクレッシェンドしている。そうしてみると定石のようなことに... 続きをみる

  • ヨッフム指揮ロンドン交響楽団でベートーベン交響曲5番

    1977年録音でフィナーレの過激なアゴギーク(伸縮)はおそらく古い時代の最後のあがきであろう。それほど凄みのある演奏だ。まず現代では体験できないものだ。 ヨッフム(1902-1987)は、84才で没したが、今考えるとそう老人でもない。誰も彼も90才で元気なのだから、老熟が阿保らしい。彼の立ち位置を... 続きをみる

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  • 人生に勝敗はあったが敗北の連続だった・西部邁年譜(1939-2018)1

    昭和14年(1938)3月15日、北海道山越郡長万部町に生まれる。  コメディアン由利徹の有名なギャグ「オシャマンベ」で、人口より熊の数の方が多いという不毛の地だったことが、第一の劣等感(田舎者)だった。父は浄土真宗の僧侶の子だった。つまり最低度のインテリに属したことが有利でもあり第二の劣等感(大... 続きをみる

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  • ナチスの退廃芸術とゲルハルト・ヒッシュ

    ワイマール共和国の混乱を受けて、ナチスは退廃芸術の粛清に向かいました。理想国家の立て直しがもっかの目標で、その際ハイデガーは大学は総統への絶対奉仕以外にありえないと演説をしました。 この頃ゲルハルト・ヒッシュも音楽奉仕を行い、ナチス党歌『鉤十字の歌』や『ハーゲンクロイツの歌』を吹き込み、新生国家の... 続きをみる

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  • ケント・ナガノ指揮ベルリンドイツ交響楽団ニコライ・ルガンスキーのブラームスピアノ協奏曲2番

    ヴィルティオーゾ・ピアニストによる協奏曲、特に異はないわけだが、楽譜を改編しないケント・ナガノが大胆にも第一楽章のクラリネットをホルンに変更して演奏させていたのには驚きを隠せない。 ギュンター・ヴァントのリハーサルに参加して、ドイツの伝統的解釈に増々接近しているケント・ナガノは、とうとうドイツの伝... 続きをみる

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  • アニヤ・ビールマイヤー指揮フィンランド放響でシューマン4番

    なかなか批評しにくい演奏である。交通整理が行き届いていて、オーケストラを鳴らすように仕組まれた演奏であった。第二楽章のバイオリン・ソロは指定がpなので、どうも沈んでしまった感があったが、慣例はピッチが高いか、pの演奏ではないのだろう。 アニヤ・ビールマイヤー(1978-)は昨日のコロンの後任として... 続きをみる

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  • アカデミー賞の『クレッシェンド』・ゲルギェフ・クルレンツィス三題噺

    本年度のアカデミー賞に『クレッシェンド』が受賞したが、日本のマスコミは全く取り上げなかった。指揮者バレンボイムがモデルになった。                   * ゲルギェフはロシアのウクライナ侵略でコテンパンにやられた。それだけプーチンの権力と金力がゲルギェフを作り上げたということか。 2... 続きをみる

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  • マーラー編曲版でエッシェンバッハ指揮NHK交響楽団ベト7番白熱ライブ

    マーラー編曲版といえばユーロフスキー指揮ベルリン放送交響楽団のベートーベン交響曲7番の来日公演の超名演があったはずだ。(2019年)エッシェンバッハの今夜のライブ、4楽章連結演奏だ。そこで思い出したのが、ユーロフスキーの来日公演が又連結演奏だったことだ。つまりマーラー編曲版そのものがマーラー指名の... 続きをみる

  • 『わが祖国』はウクライナかロシアか、プレトニョフの「モルダウ」

    3月10日の演奏会というから3週間前の演奏会、ウクライナ危機の真っ最中の演奏会である。スメタナの交響詩『わが祖国』は古来より大国への小国の抵抗の意味がある。スメタナにとつての敵はハプスブルク帝国、今は小国ウクライナにとってはロシアである。ロシア人のプレトニョフは如何なる態度を取るか、興味津々である... 続きをみる

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  • バイロイト音楽祭を訪れた日本人(1)

    前史 幕末期の横浜外人居留地で、ペリー来航の従軍画家をしていたハイネが滞在していると、ロシアからアメリカに向かうバクーニンが1861年、燃料補給に横浜港に寄港して、偶然の再会をおこなった。二人はドレスデン革命の闘士であった。革命に参加して失敗をして国外に亡命した。ハイネはアメリカに逃れて画家になり... 続きをみる