エッシェンバッハ指揮NHK交響楽団のブルックナー7番
今夜のN響ライブ放送の圧倒的な喝采に、躊躇せざるを得ないのであるが、エッシェンバッハ不調説を唱えたい。
第一楽章、199-122小節の金管の曖昧模糊なテンポの落とし方に賛成できかねた。
今回のエッシェンバッハのポコ・リタルランドは、奇しくもハイテインク指揮ウィーン・フィル(2019・8・31)と同じで、最後に一か所テンポを落としたものとなったが、奇妙にも形が崩れてテンポが落ちるものであった。エッシェンバッハの不調を思わざるをえなかった。
390小節辺の素通りも不可解であった。誰しもここで一工夫が試みられる。
第四楽章、312-314小節の金管の大リタルランドはクナッパーツブッシュを踏襲していたが、切れが無かった。
練習の仕込みではかくしかじかの指示があったが、本番では奏者が狼狽したために輪郭が曖昧模糊になったか。
しかし練習通りの演奏があったので最後の盛り上がりはあったと言える。
不調説は名演に水を差す異論で、無視されても致し方なかろう。