続パスカルの葦笛のブログ

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独創的だったデュフレーヌ指揮東京フィルのベルリオーズ『幻想』交響曲

女性新人指揮者のクロエ・デュフレーヌ(1991-)の『幻想』は独創的な響きが随所で聞こえた。東京フィルに初登場であるそうだ。


第一楽章、「夢・情熱」で、490小節。

490小節のテインパニは、楽譜は8分音符2つになっているが、フランスの伝統では4分音符1つで打つようである。フランス人のデュフレーヌは1打で演奏していた。


とりわけ第二楽章「舞踊会」は傑作であった。
76-84小節のホルンは他では聞こえない響を醸していた。


172-175小節のホルンは傑出した演奏を引き出していた。

通常では埋もれてしまったホルンの音色を強奏して独特な響きを強調していた。素晴らしい演奏になった。


デュフレーヌはドゥダメルやサローネンの副指揮者になっていたというが、その効果はてき面であったのであろう。


それは222-225小節の管楽器でもいえることで、楽譜ではpになっているが、fで強調していた。

デュフレーヌの強調で演奏されると独特な響きになる。


第三楽章「田園の情景」にも閃きがあった。
53小節ではフルネ、60小節ではクレンペラーに対抗して独自性を出しているのだから驚くべきものがある。

53小節ではフルネが第一バイオリンをスタッカートで演奏させているのだが、デュフレーヌはそれをフルートでやっている。甲乙つけがたい。


60小節以降のフルートで、クレンペラーがトレモロにスタッカートで歯切れ良い演奏にしているのだが、クレンペラーがcresc.から開始しているのに、デュフレーヌは60小節から開始している。


この人は新人ながら巨匠に対抗しているのが凄い。独創性が半端でなかった。