斉藤はドイツの正統派の指揮伝統を学んでいて、それを日本に移植するという点で優れているわけで、今回もそれを痛感させられた。 第一楽章。 42小節のテインパニで、斎藤はリタルランドを掛けた。 ケーゲル指揮NHK交響楽団の演奏はその3つの8分音符にffを掛けたということでユニークだった。もっともケーゲル... 続きをみる
2023年5月のブログ記事
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哲学のノーベル賞バーグルエン賞を受賞した柄谷行人の『力と交換様式』だが、今一番簡単に解説しているのが山崎行太郎である。『合評会・柄谷行人力と交換様式』(23・2・18)があり、『柄谷行人を解く』(23・5・11)もいいだろう。分かり易く解説しているのは山崎行太郎以外にいない。 山崎は『小林秀雄とベ... 続きをみる
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ブリュッヘンの1986年のライブ録音。古楽器奏法の最初期の録音である。 第一楽章。 94小節の楽譜はfで印刷sされているが、ブリュッヘンは何とあえてppに演奏している。 これはかなり衝撃的な演奏だったらしく、ルネ・ヤコブ指揮フライブルグバロック・オーケストラもppにしている。ブリュッヘンの影響で... 続きをみる
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この人の強みはダイナミクス・レンジの広さで、誰よりも大きな音がする。それがブルックナーにも生かされたということか。 第一楽章。 91小節のホルンで、第一拍目の付点二分音符が見事なクレッシェンドをした。 シューリヒト指揮ハーグ・フィルの演奏で、古来より名演の誉がある。91-103小節の シューリヒト... 続きをみる
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ルイージによると近年のヨーロッパでは次第にフランクの交響曲は演奏されなくなっているという。元来が地味な音楽である上に名演が少なくなったためであろう。フルトベングラーやパレーの演奏などが名盤なのであろう。ヤニック・ネゼ=セガンが指揮したモントリオール・メトロポリタン歌劇場管弦楽団の演奏などは直近の名... 続きをみる
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アルノンクール指揮ウィーン・コンツェルト・ムジクスのベートーベン5番『運命』
アルノンクールの『運命』の演奏、古楽器奏法の演奏としては貧相過ぎたが、第四楽章では面目が躍進された。ちょっと全集の完成がとん挫した所以が分からないではない。是が非でも完成させたい執念があったら、完成出来たのであろうが、そういう緊張感がないのである。 とはいえ第四楽章は傑作である。58小節のトロンボ... 続きをみる
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東京銀座の高級ブランド腕時計店強盗事件で、通り掛けの女性がドアを閉めて犯罪行為に抵抗する姿が話題になっている。何人かが眼前で犯罪行為がおこなわれていることに、こんなことが許されてはいけないと自然発生的な良心の抗議を表現している。 この国が無法地帯になる境界線に立っている気がしてならない。これを見逃... 続きをみる
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フランクの巨漢の体格に相応しく強引に引っ張られてゆくドビッシーの『海』は改訂版の楽譜の弱点にもかからわず、強引な音作りが功を奏した。 フランクはあまりテンポを揺らさないのだが、それでも最小限のアゴギーク(伸縮)があった。第三楽章の49-10小節で例によって幾分テンポを落とした。52-7小節ではデイ... 続きをみる
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バーメルトに間違いがあるとしたら、この画期的な演奏を消極的に表現したことだろう。本邦初の新全集版の楽譜で8番(9番)を演奏したことは画期的なことだ。 ノーマルなオーケストラではアバドが紹介した新全集版の楽譜で演奏されることは日本でも欧米でも稀である。アバド指揮ヨーロッパ室内管弦楽団による新全集版の... 続きをみる
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4月29日(土)Eテレで、『魂を継ぐもの~破滅の無頼派・西村賢太』が放送された。例によって件の人物が顔を揃えて七尾の菩提寺に一周忌をおこなった。玉袋筋太郎の元気な姿が見えて慶賀に耐えない。(長く細く人生を全うしていただきたいと願う。)伝説的な人物の朝日書林の荒川義雄氏が登場して拝顔できたのがなによ... 続きをみる