続パスカルの葦笛のブログ

FMラジオやテレビやCDのクラシック音楽の放送批評に特化したブログです。

2023年11月のブログ記事

  • 近衛版ベートーベン3番秋山和慶指揮大阪センチュリー交響楽団(3)

    まず報告したいのは、メンゲルベルクと近衛秀麿の有名な第九フィナーレのテインパニのリタルランド(テンポを落とす)終結のことだ。メンゲルベルク(1940)と近衛秀麿(1968)の演奏で、どちらが先行かという問題がある。厄介なのは、メンゲルベルクのベートーベン・チクルス(1940)の録音は1968年以降... 続きをみる

  • 近衛版ベートーベン3番秋山和慶指揮大阪センチュリー交響楽団(2)

    第二楽章。 158小節の空白のテインパニでffの強烈な音が響いて度肝が抜かれる。 158小節は低弦の2分音符にff記号があるがテインパニは空白になっている。そこでこれを強調するわけで、テインパニに2分音符を加筆させてffで打たせている。 さらに、159,160小節でテインパニの空白に2分音符を打た... 続きをみる

  • 近衛版ベートーベン3番秋山和慶指揮大阪センチュリー交響楽団(1)

    おしなべて近衛版編曲は立派で、ダイナミクスもアゴギークも大胆で、通常の秋山和慶の演奏では聞けないものがある。つまり使用すると通常をバージョン・アップすることになる。 近衛版『運命』が問題有りか。 その上で、今回は数少ない欠点だけをあげつらおう。というのも、9曲編曲しょうと思いつくのは相当変わってい... 続きをみる

  • 林芙美子と森達也監督『福田村事件』

    明治大正に一世風靡した『オイチニの薬屋』の陶器人形。軍服姿でアコーデオンを弾く薬屋と少女はワンセットの風物でした。義父沢井喜三郎と少女林芙美子はこうして薬売りの行商をしていました。まさに林芙美子人形ですね。 映画『福田村事件』を見た時、行商の集団に子供が加わっているのが不思議であった。事件簿には被... 続きをみる

  • 楽譜にない装飾音符を演奏したフォークトのモーツアルト24番

    2022年9月に51歳で死んだドイツのピアニストのラルフ・フォークト(1970-2022)のモーツアルトのピアノ協奏曲24番の演奏です。イリン・マリン指揮ベルリン放送交響楽団で2003・3・1の録音です。ユーチューブ公開で誰でも聞けます。 モーツアルトのピアノ協奏曲24番、第二楽章が最もフォークト... 続きをみる

  • 林芙美子とマーラー、クラシック音楽を理解した唯一無二の女流作家

    クラシック音楽は日本人にとっては敷居の高い分野である。樋口一葉から川上弘美にいたるまでの近代日本の女流作家で、クラシック音楽を理解した唯一無二の女流作家になれたのは林芙美子であった。最もブルジョワ的で高尚な分野、知識では分かっていても感性が従属して生じる音楽性は厄介な代物である。 音楽家に成りたい... 続きをみる

  • 尾崎翠の生前の最大の理解者だった林芙美子

    裏表の激しい人だったが、これを否定肯定と捉えて差し引いてみると、はるかに大きく尾崎翠を肯定的に捉えていたのが林芙美子だったと言えるのではないか。 時々、かつて尾崎さんが二階借りしていた家の前を通るのだが、朽ちかけた、物干しのある部屋で、尾崎さんは私よりも古く落合に住んでいて、桐や栗や桃などの風景に... 続きをみる

    nice! 1
  • ロンドン交響楽団とロンドン・フィルの違い

    オーケストラに呼び名・呼称を付けると、シンフォニーとフィルハーモニーの2種類に分類できる。その違いは成立時に音楽家が自主的に寄り合って作った団体が協同組合(フィルハーモニー)だからだという。まさしくウィーン王立歌劇場の楽団員が日々の公務の合間に自主的に集まって演奏した団体の呼び名がウィーン・フィル... 続きをみる

  • 決定盤だったケルテス指揮バンベルク交響楽団のハイドン104番

    今日は良いものを聞かせてもらった。名演と名高いエッシェンバッハ指揮ロザーヌ室内管弦楽団の演奏のオリジナルが、このケルテスの演奏だったという発見と、ハイドンの交響曲104番の演奏の決定盤がケルテスの録音だったことの発見である。 多分ケルテスの104番の演奏が名演であることも世評にはなく、話題に上らな... 続きをみる

    nice! 1
  • エリック・サティー事始(薩摩治郎八と関係があった)

    薩摩治郎八(1901-1976)は1935年に、世界恐慌で実家が破産して財産整理のために日本に帰国することになった。主婦の友社、かつてのカザルス・ホールがあった所が実家の屋敷であったという。 久しぶりの帰国で、友人の音楽評論家増沢健美(1900-1981)は帰国中の薩摩治郎八を実家の屋敷に訪問した... 続きをみる