続パスカルの葦笛のブログ

FMラジオやテレビやCDのクラシック音楽の放送批評に特化したブログです。

2023年6月のブログ記事

  • アパート住まいの聖人、小室直樹と鈴木邦男

    アパートを一生の住家として、家を持たず金を持たず女房を持たず、只ひたすら読書に明け暮れて真理を追い求めた人がいた。そういう新右翼の鈴木邦男(1945-2023)が今年死んだ。その先例に小室直樹(1932-2010)がいた。一生を安アパートで暮らした人だった。 と、くれば美談なのだが、どうもそうはい... 続きをみる

  • 高橋直史指揮大阪交響楽団のサンサーンス3番

    全編出色の演奏であった。ダイナミクスも楽譜に囚われず歌わせる方を優先させてた演奏が良かったのであろう。 第二楽章。 Tの前、オルガンを受けてテインパニがffを打つところ、fffで力んだのには驚かされた。 fffの外連味は功を奏したといえるだろう。この機会にコーダに向かう演奏が高揚した。 一番驚かさ... 続きをみる

  • 1947年フルトヴェングラー復帰演奏会謎の空白日5月26日を推理する

    1947年フルトヴェングラーの戦犯容疑が晴れて、ベルリン・フィルに復帰した演奏会が開催された。5月25日と5月27日の二日間であった。そして5月26日が空白日になっている。それは無意味な空白なのか。5月26日は、バージョンA(25日)からバージョンB(27日)に変更された練習日だったのではないか、... 続きをみる

  • ノリントン指揮シュツットガルト放送響のベートーベン6番

    ノリントンは古楽派では唯一のアゴギーク(伸縮)を使用する指揮者だ。そういう意味ではベートーベンの交響曲6番は古楽奏法とアゴギークが絶妙な統合を見せた傑作であった。 第一楽章。 古楽奏法とアゴギークが統合された名演であった。それは冒頭ですぐ見せた。速いテンポで開始されたが、ノリントンは伝統的な演奏の... 続きをみる

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  • バレンボイム・ゼジニゼ・木村太郎

    2023・6・16(金)は、色々な事がありました。 評論家木村太郎はフジテレビで7月ウクライナ和平締結を予言しました。果たして当たりますか。それにしてもテレビでは最初の発言で、これが貴重です。裏世界では目に見えない動向がある。多分岸田首相の解散不発弾発言は、選挙どころではない激動を反映している。や... 続きをみる

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  • 一番新しい演奏法ボストック指揮南西ドイツプフォルツハイム室内管弦楽団のモーツアルト31番

    ダグラス・ボストック(1955-)は、何と東京佼成ウインドオーケストラ、東京芸大、洗足学園大学と、日本でお馴染みの指揮者であった。この指揮者が今一番新しい演奏法でモーツアルト演奏をけん引している。 モーツアルトの交響曲31番『パリ』は、ボストックの生涯の代表作になる名演奏だ。20名近い有名指揮者が... 続きをみる

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  • 太宰治『千代女』と女流作家豊田正子の予言

    太宰治にこれほどポレミック(論争的)な小説はない。素材は「綴方教室」で一世を風靡した豊田正子がモデルということは確定している。投稿雑誌『青い鳥』は鈴木三重吉の『赤い鳥』がモデルも確定している。なにを今更作文の豊田正子をモデル小説に書いたのか、疑われる。本音は第一回芥川賞の選考会だ。文壇を疑似文壇た... 続きをみる

  • 緊急報告!洒落たことやってくれましたリン・ダーイエのブルックナー

    第四楽章、76小節でリン・ダーイエが何とシンバルを演奏しましたよ。洒落たことしてくれましたね。 まあ一般的には現在ほとんどしませんよね。フルトベングラーやクナッパーツブッシュを知らないわけではない。ブロムシュテット指揮ウィーン・フィルは改訂版はしたくないので、テインパニでその効果を出した。 リン・... 続きをみる

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  • 清瀬保二(1900-1981)と木山捷平(1900-1968)

    作曲家清瀬保二の代表作歌曲集『メクラとチンバ』がウィキペディアから追放処分されているのは残念でならない。不穏当な表現が災いした処分である。丸で評価に値しない作品に等しい処分である。こんなことが許されていいのかなあ。 というわけで無きに等しいわけだ。それなら人はどの術を使ってこの傑作に行き付くのか。... 続きをみる

  • コーダで超絶技巧のエッシェンバッハ指揮KBS交響楽団のブラームス4番

    エッシェンバッハは第四楽章のコーダで、超絶技巧のリタルランドを披露した。今年最大の名演と言っていいだろう。 第二楽章。 83小節の2つの8分音符にポコ・リテヌートを掛けて、ようやく本腰の演奏になった。これはシューリヒト指揮バイエルン放送交響楽団、バレンボイム指揮ベルリン・シュターツカペルレの演奏で... 続きをみる

  • 追悼:加賀乙彦『フランドルの冬』とアンリー・エー

    芹沢光治良は『巴里に死す』が仏訳され、ノーベル賞候補になったとといわれている。加賀乙彦の『フランドルの冬』が仏訳されたら、同様のことがあったのではないか。むしろ内容はフランス人には身近であり関心の的もあり、ノーベル賞受賞に届いた気がする。スキャンダラスな内容はフランス人向きで、フランス人の趣味にも... 続きをみる

  • ルイージ指揮NHK交響楽団のベートーベン6番『田園』

    大変フルトベングラーを意識した演奏だった。その影響は多々あったのが好ましかった。 第二楽章。 フルトベングラー指揮ベルリン・フィル1954年では小鳥たちのさえずりでは、132小節のフルートの後半でアッチェレラントを掛けたが、ルイージが踏襲している。 正確に言えば、3つ目から急速に速度を上げた。 第... 続きをみる

  • 芥川龍之介の『玄鶴山房』と黒歴史

    『韓非子』に玄鶴の故事がある。春秋時代に衛の霊公が旅先の宿で琴の音を聞いて眼が醒めた。たえなる音楽に感動して、楽人を呼んで採譜させたのである。普の平公に会った時、この話をして演奏させた。平公はこれは亡国の歌で最後まで演奏してはならないといった。周の武王が殷の寸王を討伐した時追われて入水自殺をした時... 続きをみる

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