続パスカルの葦笛のブログ

FMラジオやテレビやCDのクラシック音楽の放送批評に特化したブログです。

2022年7月のブログ記事

  • よほど調子が良い時のクレンペラー指揮フィルハーモニア管弦楽団ライブのベト1番1963年

    1963年のライブでステレオ録音で状態は最上である。よほどクレンペラーの調子が良かったのであろう名演である。ベートーベン交響曲1番、第一楽章は緊張がみなぎっている。こういう時のクレンペラーは鬼に金棒である。 第二楽章も素晴らしかった。 91小節からのテインパニ―の演奏は素晴らしかった。 メンゲルベ... 続きをみる

  • クレンペラーは出来不出来の激しい人(近衛秀麿)

    今ユーチューブではクレンペラーのライブが連日紹介されていて、クレンペラーのライブを知らない人には貴重このうえない。 その一つが1966年のクレンペラー指揮ベルリン・フィルによるベートーベン交響曲4番である。 1966年はクレンペラーは西ドイツで一連の演奏会を持っていた。 3月、ケルン放送響 ベート... 続きをみる

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  • クレンペラーの指揮の特徴とは何か

    今『クレンペラー・ドキュメンタリー』(フィロ・プレフスタイン制作)がユーチューブでながさられている。日本語字幕もあり立派なものだ。 『オットー・クレンペラー書簡集』の編者であるアントニー・ビーモントという人のインタビューが出ている。 ワルターが美しさを追及しているのに対して、クレンペラーは「より強... 続きをみる

  • クレンペラーのベルリオーズ『幻想交響曲』考

    1963年9月17・18日、クレンペラーは珍しいフランス物でベルリオーズの『幻想』交響曲を録音している。これは1962年にクレンペラーが演奏会で指揮した時にロンドンの聴衆から熱狂的な歓迎を受けて、翌年に録音することになったという曰く付きの代物であった。 つまりロンドンの聴衆の反応に驚いて、急遽録音... 続きをみる

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  • 直木賞窪美澄『夜に星を放つ』と現代の童話

    直木賞窪美澄『夜に星を放つ』の最後の作は『星の随に』である。星のまにまに、と読ませるらしい。もとより現代では日常的には使われていず死語である。意味は「てんでん、バラバラ、勝手に」ということである。人間は各人てんでん勝手に生きて行動している。そしてバラバラに生活している。そして重要なのは、現代人は自... 続きをみる

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  • 直木賞窪美澄『夜に星を放つ』と妻子に捨てられた男の憂欝

    直木賞窪美澄『夜に星を放つ』の四作目は、「湿りの海」である。ちなみに「湿りの海」とは、トールベロの『湿りの海』という月の裏側の天体をリアルに描いた絵画で、有名だそうである。 冒頭に、夫を捨てて妻子がアメリカに逃げてしまって、未練があって妻子をアメリカまで迎えに行く夢を見たという文章が書かれる。とて... 続きをみる

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  • 直木賞窪美澄『夜に星を放つ』と母の幽霊との生活

    直木賞受賞の窪美澄『夜に星を放つ』の第三作は「真珠星スピカ」である。珍しい題材で、死んだ母が幽霊になって現れて、残された父と娘と生活するという話だ。 オカルトぽい妙な話かと思うと、実は葬式仏教を受け入れている日本人には自然な受け入れやすい癒される話になっている。人が死ぬと49日間は未だ成仏できなく... 続きをみる

  • 直木賞窪美澄『夜に星を放つ』と短編の冴え

    窪美澄の『夜に星を放つ』の二作目「銀紙色のアンタレス」が、短編集で一番技巧が冴えたものであろう。なぜなら登場人物にわざとアンタレスと間違いさせている所に作者の意図があり、そうしないと小説が成立しないからである。この聞きなれないアンタレスという名前を使うところに読者をだまして小説に引き入れる作為もあ... 続きをみる

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  • 直木賞受賞の窪美澄『夜に星を放つ』と向田邦子の再来

    167回直木賞を受賞した窪美澄『夜に星を放つ』。珠玉の短編集。 向田邦子は短編の名手だと言われて、選考委員の水上勉が受賞作を原稿用紙に筆写したといわれるほど絶賛された。凄い人が現れたと噂されたが、それを彷彿とさせるものがある。 そういえば、向田邦子の『思い出トランプ』の「犬小屋」が、窪美澄の『夜に... 続きをみる

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  • 音楽が破綻する寸前の限りない魅力の1970年ライブのクレンペラー・モーツアルト40番

    誰であったか京都の一流料亭でフグの肝を食べて死んだ歌舞伎俳優がいた。それほどフグの肝は旨いらしい。もちろん一流の料理人の調理する料理だ。安心このうえなかろう。 林房雄が鎌倉の海で、自分の釣ったフグを三島由紀夫に料理したら、震えあがって一口も食べなかっいたという。林房雄は自分で食べていたのだろう。キ... 続きをみる

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  • ブレヒトの『異化作用』と1960年のクレンペラーの『エグモント』序曲リハーサル

    ブレヒトの『異化作用』の影響を受けた人にローラン・バルトがいて、フランス革命期に「この野郎」とか「馬鹿野郎」と叫ぶ政治家がいて、これがブレヒトの『異化作用』だと解説している。さしずめ日本の小梅太夫の「畜生」と叫ぶのがブレヒトの『異化作用』の見事な解説だろう。 クラシック音楽の世界で、ブレヒトの『異... 続きをみる

  • カラヤンは人を見る眼がなかった。

    ドキュメンタリー『知られざるカラヤン』で、二番目の妻アニタ・ユーデルマンが、多くの人がカラヤンは人を見る眼がなかったというが、その通りで人材採用すると10人の応募があると選ぶ1人は必ず犯罪者なのである。 つまりカラヤンはそれだけ芸術家が勝った人だったということだ。 『バカの壁』で有名な養老孟司が、... 続きをみる

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  • バイロイト音楽祭1965年のクレンペラー

    1965年のバイロイト音楽祭にウィラント・ワーグナーに招待されたクレンペラーは、どんな演目を見たか。 『パルジファル』指揮クリュイタンス 『リング』指揮ベーム 『タンホイザー』指揮クリュイタンス 『さまよえるオランダ人』指揮スウィトナー さて、以上の中でクレンペラー.はどれを観劇したか。悩ましい問... 続きをみる

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  • バイロイト音楽祭とクレンペラー

    人にはなるほど運・不運があるようだ。              1 1959年のバイロイト音楽祭では、クレンペラーは『マイスタージンガー』の指揮が予定されていた。1958年10月に三度目の火傷で一年間仕事が出来なくなって、1959年の『マイスタージンガー』の指揮は出来なくなってしまった。代行はライ... 続きをみる

  • デ・サバータの指揮法

    NHKラジオのイタリア語放送を聞いていたら、ゲストはイタリア人指揮者で、有名なイタリアの指揮者デ・サバ―タの練習風景を見ることになり、それを見て指揮する秘訣を知ったというのだ。 大変面白い話の内容であった。デ・サバータが練習したのはプッチーニのオペラであった。あるフレーズの演奏であったが、ラララ、... 続きをみる

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  • 前代未聞の歌う指揮者バーバラ・ハンニガン指揮デンマーク放響のマーラー4番

    バーバラ・ハンニガン(1971-)はソプラノ歌手で指揮者という異色な存在である。多分本番は第四楽章で器楽部分は付け足しということになるのだろうと思いきや、純然たるマーラー指揮者の演奏であった。というよりプロの指揮者のマーラーの演奏であった。 ということで本番の声楽部分はいささかげんなりとさせられた... 続きをみる

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  • レイフ・オヴェ・アンスネス指揮ピアノ・スウェーデン放響でモーツアルト24番

    ともかく情報量の多い演奏である。アンスネス(1970-)はモーツアルト研究では造詣が深い。 ラルゲット(中間楽章)で、14小節で明らかに楽譜にない装飾音符を演奏していた。 それは62小節のオーケストラからピアノ・ソロに経過する所でラレンタンドでテンポを落としてピアノソロに入り、67-69小節でも楽... 続きをみる

  • アニヤ・ビールマイヤー指揮フィンランド放響でシューマン4番

    なかなか批評しにくい演奏である。交通整理が行き届いていて、オーケストラを鳴らすように仕組まれた演奏であった。第二楽章のバイオリン・ソロは指定がpなので、どうも沈んでしまった感があったが、慣例はピッチが高いか、pの演奏ではないのだろう。 アニヤ・ビールマイヤー(1978-)は昨日のコロンの後任として... 続きをみる

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  • ヨーロッパ最先端の流行を取り入れたコロン指揮フィンランド放響の『ジュピター』

    今ヨーロッパではルネ・ヤコブスとピションが最先端のモーツアルト像を描き出すと言われている。 コロン(1983-)は既成オーケストラでピリオド・オーケストラに様変わりさせたのも凄い。 なにより凄いのはピションの最先端のモーツアルト像を再現させた手腕だろう。 第一楽章が一番力が入り成功していた。 21... 続きをみる

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