続パスカルの葦笛のブログ

FMラジオやテレビやCDのクラシック音楽の放送批評に特化したブログです。

ローカル色満載ポペルカ指揮プラハ放送響のドボ8番

ペトル・ポペルカ(1986-)はウィーン響を解任されたエストラーダの後任になった人だ。余程の実力のある人と見たが、ローカル色満載でドボルザーク8番を指揮した。それはCD録音でよく聞く演奏とは異なって、異色な演奏となった。


小生はマンフレット・ホーネックを天才と崇めている信者なのであるが、ポペルカの演奏を知って天才ではなくてボヘミアのローカル色・地方色豊かな伝統のなせる業であることを知った次第である。ある面では田舎臭い演奏がいい。


第一楽章。
205小節のfffの前、204小節の金管の2つの4分音符にホーネック指揮フランクフルト放送響とポペルカ指揮プラハ放送響がポコ・リテヌートでテンポを落とした。

この演奏はポペルカとホーネックの異才のなせる業であろう。


293-296小節の金管で、この二人は同じダイナミクスをしているのだが、個性というよりはローカルカラーなのであろう。

297-298小節では、ポペルカは楽譜通りffで演奏するが、ホーネックはppに弱めているが面白い。


第四楽章。
230小節のテインパニで、楽譜ffをホーネックはpp<fといったダイナミクスにしている。そして237小節で4分音符の一打を加筆している。


どういう理由かホーネックは369-372小節の4小節をカットし、かなりのアゴギーク(伸縮)を掛けているが、ポペルカは終結に突入するだけである。ドボルザークの音楽はそれ自体に伸縮やテンポの変幻自在があるから、ホーネックの主張はそれなりの理屈はある。


いずれにしてもポペルカの才能は有りの演奏を知るものとなった。(2023・6・27)