続パスカルの葦笛のブログ

FMラジオやテレビやCDのクラシック音楽の放送批評に特化したブログです。

2022年5月のブログ記事

  • 小泉和裕指揮名古屋フィルの『アルプス』交響曲

    ドビッシーが海の作曲家だといえば、リヒアルト・シュトラウスは山の作曲家だろう。もう一つ、この二人は葛飾北斎の版画に基ずく音楽を作曲している。ドビッッシーの交響詩『海』だ。品川沖からの富士山をえがいた。リヒアルト・シュトラウスは皇紀2600年祝典序曲で、別名交響詩『赤富士』だ。 近衛秀麿は皇紀260... 続きをみる

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  • フルトベングラーの『運命』1947年5月25日説と5月27日説の解決策

    フルトベングラーの戦後復帰の初日が5月27日で大いに感動してしまってから、実は初日は2日前の5月25日だった。伝説に包まれて感激のバイアスを増幅して反応したら、虚実だったと知らされた。あの感激はどうしてくれるのだ。騙されて感動したのか。 今アメリカではワシントン・ポストもニューヨーク・タイムズでも... 続きをみる

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  • ルイージ指揮NHK交響楽団の『シェヘラザード』

    リムスキ=コルザコフの『シェヘラザーッド』は基本的にはストコフスキーの演奏がリーディング・ケースになっているのであるが、ルイージはその影響は全くなかった。 第三楽章の「若き王子と若き王女」で、ようやく強調される主題が浮上してきた。 126小節のバイオリンの2つの8分音符と付点8分音符にかなりデフォ... 続きをみる

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  • バイロイト音楽祭を訪れた日本人(12)高木卓

    高木卓(1907-1974)はワーグナー学者の第一世代で、戦前戦後のワーグナー物の第一人者であった。ワーグナーの歌劇台本や評論や小説の翻訳を手掛けた。 トスカニーニやフルトベングラーですら、ワーグナーの序曲で演奏会を開いて、これを是としていたわけである。長い間ワーグナーの理解は欧米ですら序曲で代行... 続きをみる

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  • 真にユニークな解釈のメヌエットルイージ指揮NHK交響楽団のベト8番

    ニューヨーク・タイムズの音楽記者ハラルド・ショーンバーグは小型録音機で演奏会を録音すると、ホテルに走り戻って録音を反復して音楽批評を書くのだそうだ。印象批評を脱して客観批評を確立した先駆者の種明かしである。(これは違法録音。) その点はリスナーは個人で楽しむ分は許されるわけだ。第一楽章のルイージの... 続きをみる

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  • ラハフ・シャニ指揮ロッテルダム・フィルのチャイコ5番

    多分ゲルギエフの罷免の代行がラハフ・シャニなのだろう。そういう意味では極めて今日的なニュース的な演奏会だ。場所がルーマニアときているから、20日後にウクライナの戦火に見舞われるとは思わない。 大変面白いのはオランダのオーケストラで、メンゲルベルクのアーテイキュレーション(色付け)は今日でも通用する... 続きをみる

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  • オットー・タウスク指揮ベルギー国立管弦楽団で『ジークフリード牧歌』

    ワーグナーの『ジークフリード牧歌』が、フリードリッヒ・ニーチェの命名であることは余り知られていない。 1 ジークフリード牧歌Siegfried-Pastoral.(ワーグナーの命名) 2 ジークフリード牧歌Siegfried-Idyll.(ニーチェの命名) 牧歌(パストラール)は古代ギリシャ以来の... 続きをみる

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  • 侮れないクレメンス・クラウス指揮VPOの『ジュピター』

    この人は何故VPOに持てるのか不思議でならない。ワーグナーの『指環』など噴飯ものだろうが、どういう意味で重用されるのか不思議でならない。 さて、面白いのは東西で、モーツアルト嫌いの貴族で、ウィーンで観劇日記を残していて演目が貴重なモーツアルト資料になっているのだが、大名で歌舞伎の膨大な観劇日記を付... 続きをみる

  • フルトベングラーの影響を受けたヤノフスキ指揮NHK交響楽団の『グレイト』

    83歳の巨匠ヤノフスキは増々ロマン主義と円熟を増している。フルトベングラーの衣鉢を継ぐことをもはや隠さないのである。堂々とその影響を告白した名演だ。シューベルトの交響曲8番はそんな名演であった。 第一楽章。 それは先ず566小節のテンパニに現れた。 新全集版では566-567小節はトレモロではなく... 続きをみる

  • 沼尻竜典指揮日本センチュリーでメンデ3番

    NHKFMのクラシック・カフェで、沼尻竜典指揮日本センチュリー交響楽団で、メンデルスゾーン交響曲3番スコットランドの放送があった。いわばクラシック音楽の選ばれし名曲中の名曲、名演奏中の名演奏といったものをNHKの権威を賭けて紹介する番組でる。 安易に選んでノルマで消化するたれ流し番組ではない。 そ... 続きをみる

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  • キャピトル盤エロイカはメンゲルベルクの追悼盤だった

    1940年3月5日演奏のエロイカは、ターラの発掘調査で陽の目を見た未発表録音と言われている。だが戦後アメリカのキャピトル・レコードからLPで発売されていたらしい。 テレフンケンの音源だがアメリカのキャピトル・レコードから発売されたものの印刷ラベルである。long piayの文字があり、片面に1,2... 続きをみる

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  • 第九フィナーレ考、メンゲルベルクが早いか近衛秀麿が早いか

    メンゲルベルクの第九フィナーレの終結のリタルランドだが、メンゲルベルク愛好家でも意外に拒否反応が強いらしい。人は好みだから、好き嫌いは自由ということに尽きる。 私はメンゲルベルクの芸術観の最高峰の結論だと思う。その判定基準は、メニーイン指揮ワルソビアによる全集で、やはり第九フィナーレをメンゲルベル... 続きをみる

  • テンシュテット=マズア対談異聞

    かつて『レコ芸』に、テンシュテットとマズアとがニューヨークで落ち合ってバーの一隅で対話したという対談が掲載された。貴重な資料である。マズアがニューヨーク・フィルの常任指揮者をしていた時期、テンシュテットも頻繁にアメリカ公演があった。ちょうど2人がニューヨークで遭遇したという貴重な時間があった。 マ... 続きをみる

  • 野村光一

    NHKFMに昔、音楽時評という番組があった。他に演劇と映画があった。ここ一カ月の音楽会を月遅れで総括批評する。 出演者は大木正興、野村光一、吉田秀和、遠山一行である。 今もって記憶に残るものが2つある。1つは、野村光一、吉田秀和、遠山一行の三人が出席した時のものだ。この時はどういうものか野村光一を... 続きをみる

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  • 橋下徹=百田尚樹論争とクラシック音楽館の『運命』

    NHKは2022・4・19にウクライナ避難民のインタビューで字幕改変をしたという指摘があった。「我々が勝利することを祈る。ウクライナに栄光あれ」を、「今は大変だけど平和になるように祈っている」と誤訳したらしい。今回またウクライナの戦争勝利をウクライナの平和に誤訳した。 「ウクライナに平和」のスロー... 続きをみる

  • 河上徹太郎

    河上徹太郎といえば『日本のアウトサイダー』が代表作で、コリン・ウイルソンのパクリは明白である。さしたる傑作も残さなかった文芸評論家といったところか。だから遠山一行が大尊敬している聞くと、そんなところがあったかと懐疑的になる。 ところがこの人現代ロシア文学の『悪魔物語』が英米で話題になっていると、英... 続きをみる

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