続パスカルの葦笛のブログ

FMラジオやテレビやCDのクラシック音楽の放送批評に特化したブログです。

2023年7月のブログ記事

  • 4年ぶり小沢征爾指揮SKOのベートーベン・エグモント序曲

    2022年11月25日、長野で小沢征爾が4年ぶりに指揮をしてベートーベンのエグモント序曲が演奏された。というニュースがNBS長野放送ニュースが流された。親切にも小沢征爾公式チャンネルで2022年12月1日に全曲が公開されるという。 ベートーベン作曲エグモント序曲小沢征爾指揮斎藤記念オーケストラ(S... 続きをみる

  • 『思想と実生活論争』とトルストイ夫人の成長史

    ここでいうトルストイ夫人とは文豪トルストイの妻のことではなく、小林秀雄とトルストイの家出で論争した正宗白鳥の妻のことである。白鳥がトルストイでその妻がトルストイ夫人かどうかは、今は不問に伏す。しかし白鳥がトルストイでツヤがトルストイ夫人という関係であることは、文脈上で繋がりがある。「女は弱し、され... 続きをみる

  • テンシュテットの3種の『エロイカ』ライブ

    テンシュテットのボストン響、ニューヨーク・フィルの『エロイカ』は伝説的な評価があり、ライブ故の聞きたくても聞けない事情がなお伝説的演奏を煽り立てた。 1)テンシュテット指揮ボストン交響楽団1977年録音。 2)テンシュテット指揮ニューヨーク・フィル1988年録音。 3)テンシュテット指揮ウィーン・... 続きをみる

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  • 西村賢太と石橋忍月

    「名は体を現す」、名と実体はうまく合っている。(広辞苑) 石橋忍月は明治の文芸評論家で、筆名を忍月と号した。雲に隠れた月で、洒落た雅号だ。隠れても月で、陰陽道の片割れ他方の巨匠であるという自負である。しかし忍月には月の裏側、人の眼には見えない月という意味もあるようだ。人の眼に触れない存在なら、存在... 続きをみる

  • 山口恵以子『月下上海』と八島多江子はディヌ・リパッティを聴いたか

               山口恵以子『月下上海』(文春文庫版) 人気作家山口恵以子の『月下上海』は松本清張賞を受賞した。女主人公の八島多江子は上海に赴き洋画家の肩傍らスパイ活動をするという奇想天外な物語が魅力的である。女性離れした気宇壮大な発想が面白い。その一つに上海の家でリパッティやコルトーのレコー... 続きをみる

  • エストラーダ指揮ヨーロッパ室内管弦楽団のモーツアルト38番

    エストラーダ(1977-)はフランクフルトhr交響楽団の首席指揮者をしていた時、フランスのヘルヴェッヘが客演して38番を指揮した。(2021・12・3)アンダンテで、ヘルヴェッヘはフルートに楽譜にない装飾音符を演奏させた。 所謂モーツアルトのメヌエット楽章では楽譜にない装飾音符を演奏するという最近... 続きをみる

  • ミナーシ指揮ザルツブルグ・モーツアルテウム管のモーツアルト40番

    小林秀雄の『疾走するモーツアルト』を、母親から子守歌のように読み聞かされていたらしく、ト短調の疾走するメロディーから、ミナーシは演奏を開始した。日本ではモーツアルトは疾走するテンポがモーツアルト演奏なのだと言い聞かされたか。それほど速い。しかし井上道義は、同じオーケストラで遅いモーツアルトであった... 続きをみる

  • 驚くべき異才ミナーシ指揮ザルツブルグ・モーツアルテウム管のモーツアルト41番

    リッカルド・ミナーシ(1978-)は、イタリアの古楽器奏法の人で、39番40番を聞くと、モーツアルテウム管弦楽団が古楽器オーケストラに変貌していてしまっていた。ある面大変な失望を味わったわけである。イタリアの古楽器奏法がまた聞きずらいさがった。 41番になると、そんなミナーシが自由闊達に転じて、近... 続きをみる

  • アルティノグリュ指揮フランクフルトhr響のマーラー4番

    アルティノグリュ指揮フランクフルトhr交響楽団ソプラノ独唱はチェン・ライスで、マーラー交響曲4番の演奏である。アルティノグリュ(1975-)は2021年から首席指揮者に就任している。 第一楽章。 57小節の第一バイオリンで、アルティノグリュはテヌート記号の付いた2つの音符にポコ・リテヌート(少しテ... 続きをみる

  • サー・ジョン・バルビローリの肖像と1954年のブラ1番の名演

    『サー・ジョン・バルビローリの肖像』がユーチューブに挙げられているが、つい見てしまった。ブルックナー7番第三楽章のリハーサルがあるのだが、見ものだった。バルビローリは数曲の録音があるが、7番は1966年12月11日のマンチェスターでの公演がCDになっているので、その年のリハーサル録音らしい。ハレ管... 続きをみる

  • マタチッチ指揮NHK交響楽団のブルックナー8番

    マタチッチはNHK交響楽団では1975年と1984年と2回とも8番はノバーク版を使用していたようだ。 第四楽章。 135-158小節の間、2回ともテンポを揺らしていたのが白眉だった。 マタチッチは、I番号の弦の開始(左頁下)からアッチェレランド(テンポを加速し始め)、156小節の右頁上段後半からラ... 続きをみる

  • ムソルグスキー『ボリス・ゴドノフ』と「虫けらのように潰される」(ルカシェンコ)

    ムソルグスキーの歌劇『ボリス・ゴドノフ』に「蚤の歌」がある。アウエルバッハの酒場でメフィストフェレスが歌う有名な歌だ。不世出の名バス歌手のフョードル・シャリアピン(1873-1938)が得意にしていた。 ロシアの皇帝(プーチン)は一匹の蚤(ブリゴジン)を飼っていた。 皇帝は蚤が大好きで可愛がってい... 続きをみる