続パスカルの葦笛のブログ

FMラジオやテレビやCDのクラシック音楽の放送批評に特化したブログです。

2023年3月のブログ記事

  • 坪内祐三(文芸評論家)年譜ー結構な不幸を淡々と生きて

    坪内祐三(1958-2020)文芸評論家。一番似ている存在が十返肇か。目立つことなく存在し続けて一度もスポットライトが当たらないで終わった。しかし年収2000万円で20年続けて大層な収入と言えるだろう。著作は60冊、ベストセラーは一冊もなし。売れていないようでいて、売れている。有名であるようでいて... 続きをみる

    nice! 1
  • 卑弥呼の正体を二歩前進させた研究

    1『魏志倭人伝』は邪馬台国の住民が刺青をしていたこと。 2女王卑弥呼は巫女で神託を伝授させたこと。ひいては日本の巫女の原型であること。                   * 昨夜NHKラジオの深夜便を聞いていたら、野鳥の紹介で野鳥ミコアリサを紹介されていた。大変興味深く聞いた。 これがミコアリサ... 続きをみる

    nice! 2
  • カサドジュ指揮関西フィルの『幻想』交響曲

    隅々に至るまで名演であった。92歳でアルプス交響曲を詳細に表現したハンス・ドレバンツと双璧だと言えよう。カサドジュの方は86歳という。 とくに第一楽章の演奏は詳細を極めた。 166小節の反復もカサドジュは行った。 451小節のテインパニでは、一打派と二打派に分かれるのであるが、カサドジュは一打派で... 続きをみる

  • モントウー指揮ロンドン交響楽団のブラームス2番

    往年の名盤である。87歳の高齢だが細部に至るまできめ細やかな指示が行き届いていて、一点の揺るがしのない演奏が実に明解に聞こえるのが驚異でもある。ステレオ録音の最初期だが、不足のない録音である。 いささか通常でないのは、余人のしない第一楽章の反復を実行したことである。1962年の録音。1980年にな... 続きをみる

  • 大江健三郎と成田三樹夫は同年同月同日生まれで同じ東大生

    怪物俳優成田三樹夫は山形大学中退という経歴は知られていたが、その前に東大中退だったらしい。さらにノーベル文学賞の大江健三郎とは東大の同級生だったか。 3月3日、大江健三郎は88歳で老衰で死去された。とすると同じ年の成田三樹夫も88歳だったのだ。生きていてもおかしくない。感慨がある。 大江健三郎(1... 続きをみる

  • ダン・エッティンガー指揮東京フィルの『シェヘラザード』

    リムスキー=コルザコフの交響組曲『シェヘラザード』は第三楽章の「若い王子と若い王女」の解釈が一番濃厚であった。 第三楽章。 106小節のピッコロで、2つの8分音符をかなりテンポを落としてリテヌートで演奏させたのが印象的であった。 同じ旋律は126小節の第一バイオリンで再現されるが、同様にエッティン... 続きをみる

    nice! 1
  • アレホ・ペレス指揮第二国立劇場のヴァーグナー歌劇『タンホイザー』

    アレホ・ペレス(1972-)指揮のヴァーグナー『タンホイザー』はヴァッカナーレ連結のパリ版が使用されていた。出演者結構長いフレーズで歌っていたのが一番気になった。これが一番特長的だったか。 ヴァーグナーの『タンホイザー』(1845)がハイネの『タンホイザーの歌』(1836)『流刑の神々』(1852... 続きをみる

  • ロマン・ポランスキー監督とハイドンのパトロン・エステルハージ侯爵

    ロマン・ポランスキー監督の映画『オフィサー・アンド・スパイ』(2019)は、19世紀末のスランスで起きた冤罪のドレフュス事件を扱った映画である。テーマは単なる詰まらない細かい事が気になり事実を蔑ろにするのが大嫌いな小心者の役人(軍人)が、陸軍全体に蔓延る冤罪体質を告発してやがて巨大な陸軍という役所... 続きをみる

    nice! 1
  • ブリュッヘン指揮18世紀オーケストラのベートーベン3番

    ブリュッヘンはハイドンからベートーベンへの交響曲の発展は実に明解であるという。ベートーヴェンの1番はハイドンの模倣で、それだけ交響曲の発明家の行き届いた理解がなされている。 通常は2番から3番への飛躍はロマン・ローランの傑作の森伝説で、凡人から天才の飛躍であったとされている。1番2番は凡人ベートー... 続きをみる

    nice! 1
  • 恩師保昌正夫と小説家西村賢太の誕生

    国文学者の保昌正夫(1925-2002)が小説家西村賢太(1967-2022)の生みの親であったことは余り知られていない。出産現場に立ち会った朝日書林店主荒川義雄の証言(『本の雑誌』22・6)がなかったら、知ることもなかった。 遺作『雨滴は続く』は、2004年西村賢太37歳の動向を扱った千枚の大作... 続きをみる

    nice! 1
  • フーベルマン・スタインバーグ指揮ベルリン国立歌劇場管弦楽団のチャイコフスキー・バイオリン協奏曲

    十九世紀末の退廃趣味満点といえばフーベルマン・レーケンパ・スペルピアといった三羽ガラスであろう。歌人の塚本邦雄はコンチータ・スペルピア(1895-1936)に熱をあげて熱狂したことはつとに有名だ。カルメンのスペルピアか、スペルピアのカルメンかと呼ばれたコロラトゥラの名唱であった。その点ではレーケン... 続きをみる

    nice! 1
  • 小泉和裕指揮新日本フィルのフランク交響曲

    第一楽章。 テインパニのクレッシェンドの強調が目立った。59-60小節などは、cresc、fなどはじつは山田一雄指揮東京フィルと全く同じ解釈で、師匠譲りというころがあるのかもしれない。 11-12小節も同様にしていた。 コーダのフルトベングラーの有名なテンポを落とす所、小泉はそれほどではないが、ポ... 続きをみる