続パスカルの葦笛のブログ

FMラジオやテレビやCDのクラシック音楽の放送批評に特化したブログです。

バーンスタインの秘蔵っ子オルソップ巨人で頭角を現す

バーンスタインがマリン・オルソップについて尋ねられて「そのうち出て来る」と答えたと言う。長い低迷の時期才能が危ぶられた時の答えだった。才気が発揮されるには長い醸造期間がかかった。天然醸造は発酵にかかるわけだ。


今は相手にされないが、やがて相手にされる。今それが来たことが明白になった。マリン・オルソップ指揮ウィーン放送交響楽団のマーラー交響曲1番巨人の演奏でずば抜けた才能を顕示したのである。


第二楽章、326ー1332小節のテンパニで、オルソップはワルターに従って低弦のパートを加筆して演奏させている。
この点でオルソップはハンブル稿に慧眼の道を開いたヘンゲンブロックに一頭抜きんでた。


第三楽章のアゴギークはルイージ指揮NHK交響楽団の名演に伯仲していた。ここは割愛したい。


最大の問題は第四楽章だった。
7小節のトランペットで、楽譜は3つの音符だが、オルソップは4つ聞こえる。
オルソップの別の演奏で、どうも学生オーケストラで巨人を指揮しているらしいのだが、演奏ミスと思った。今回やはり4つ音がした。間違いない。楽譜の版の異同なのは確かになった。


20小節の金管でオルソップはリタルランドを掛けた。
ここはオルソップの独壇場となった。完全な巨匠だ。


252小節のテンパニで、大胆なクレッシェンドが掛かるのが、ハンブルグ稿の醍醐味になっているのだが、オルソップでその醍醐味が味わえる。
ヘンゲルブロックとオルソップがクレッシェンドを掛けていて、ハンブルグ稿で演奏していると分かるわけである。


そういうことでは、657小節以降でテンパニの3つの音が聞こえるわけである。


大変満足感のある演奏に接した。