続パスカルの葦笛のブログ

FMラジオやテレビやCDのクラシック音楽の放送批評に特化したブログです。

ブロムシュテット指揮ウィーン・フィルのブラームス交響曲4番

ブロムシュテットはこの交響曲をアンサンブルだけで聞かせるのかと危ぶんでいたが、第三楽章に突入するや期待通りの爆発を起こした。


第三楽章、298小節のホルンのコラールで、ブロムシュテットは突如変化球を投げ始めた。
298小節ではfpの記号が見えるが、ブロムシュテットはfで強奏すると、299小節からppの弱音に転じた。よほどfpより効果的であった。そして301小節のcrescでは
mfの音に強め始めた。


第三楽章の締めくくりが凄かった。337小節のホルンの行進曲を、346小節のバイオリンで押えて終える所で、他の指揮者がしなかったようなアクセントを付けて終わらせた。
誰でもこのフレーズは346小節の1拍まで続くと思いがちだが、ブロムシュテットはきっぱり346小節で終わらせているのだ。道理で、347小節の弦からun poco rite.とテンポを落とさせたわけだ。


もう行進曲だから気分は軽く速くなっているわけだ。感覚的にはもう少しテンポを落としているように感じる。このバイオリンのフレーズ2回の反復はかなり衝撃的である。
352小節の1拍は4分音符なのだが、8分音符に速められている。ここから演奏はアッチェレランド(加速する)となっているからだ。真にユニークな解釈をしたものだ。


なかなか実体が掴めなかった。初めはテインパニのトレモロがffで強奏されちるのかと思っていたが、何度か反復して聞いて見ると、353小節のテンパニの8分音符にffが付いているのは判明した。あと3回ffでやられる。


352小節の4分音符が8分音符に縮まっているのが理解出来なかった。何が起こったのか、感である。


ブロムシュテットはこんな玉手箱を持って、聴衆を煙にまいたわけである。