続パスカルの葦笛のブログ

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アレホ・ペレス指揮第二国立劇場のヴァーグナー歌劇『タンホイザー』

アレホ・ペレス(1972-)指揮のヴァーグナー『タンホイザー』はヴァッカナーレ連結のパリ版が使用されていた。出演者結構長いフレーズで歌っていたのが一番気になった。これが一番特長的だったか。


ヴァーグナーの『タンホイザー』(1845)がハイネの『タンホイザーの歌』(1836)『流刑の神々』(1852)の影響を受けていた。革命家としては友人であった。『さまよえるオランダ人』と『タンホイザー』はハイネにおさわった。ドレスデン宮廷楽長の身分は『タンホイザー』に世間的な妥協を強いたことは間違いがない。ふたりは唯物論者だったが、ヴァークナーはキリスト教に配慮した。オペラの結末はキリスト教肯定に落ち着いているが、ハイネの『流刑の神々』の影響を徹底的に受けている。ニーチェに『悲劇の誕生』を書かせたのだが、同じテーマが生まれている。


ハイネの『流刑の神々』は、古代ギリシアの神々がローマ帝国となりローマに移住してローマ人の神々になったが、ローマ帝国がキリスト教を国教と宣言した時、ローマから追放されることになった。ローマの神々は北上してゲルマンの地に移住して、ワルトブルク山に住むことになった。ドイツにはルーネ文字を持つ先住民がいたが、彼らは先祖ではないので、ドイツ人の先祖は古代ギリシャ人だったらいいなという願望があった。この神話はゲーテとビンケルマンからハイデガーまで彼らを魅了した。ワルトブルグはドイツ人にとって古代ギリシアだったのである。ハイネはワルトブルグに古代ギリシャ人が住んでいた足跡を研究した。古伝説を収集したのである。ワルトブルグの歌合戦という中世伝説は古代ギリシアのビーナス伝説らしい。キリスト教の愛(アガペ)に対してビーナスの愛(エロス)があったらしい。肉欲肯定の愛を信仰していたらしい。タンホイザーという吟遊詩人が歌合戦に参加して優勝してビーナスの愛を獲得して、ワルトブルクでビーナスと愛し合って生活した。めでたしめでたし。


とはいかないので『タンホイザー』で、愛欲に溺れたことを反省してローマ巡礼の旅に出て法王から許されず帰国して死んだ。とすれば何のお咎めがないとした。


ハイネは古伝説は今は失われた古い世界を語る道具である。本を読まない阿呆人の与太話が失われた時代を今に伝える道具になってと、フレーザーが『金枝篇』で言っている。ヴァーグナーは『ニーベルング』で現代を古伝説で語らせている。全て金次第、マルクスもヴァーグナーもマネタリズムもそう読んでいる。