続パスカルの葦笛のブログ

FMラジオやテレビやCDのクラシック音楽の放送批評に特化したブログです。

スタインバーグのブルックナー4番の盤歴

スタインバーグ(1899-1978)のブルックナー交響曲4番の最初の録音はピッツバーグ交響楽団で、1956・4・19というデーターが残っている。多分ピッツバーグ交響楽団はブルックナーの交響曲を演奏するのは初めてのようで、困難を極めた練習の光景がドキュメントで残されている。アンディ・ウォホール(1928-1987)が生まれた地元で、ボヘミア移民の多い土地で、音楽は打ってつけであった。
(CAPTOL P-8352)1956・4・19の録音だが、原盤はモノラル録音で疑似ステレオともいわれる。使用楽譜は第3稿1888年版でいわゆる改訂版であるが、コ-ルスヴェット校訂版によって、ピッコロもシンバルもブルックナー自身の公認で、改悪版どころか一番ブルックナーの真意を伝えている楽譜だというのが今日の評価である。古い録音ながら現代に甦る演奏の所以である。


スタインバーグは1978・5・16に78歳で没した。
1997年スタインバーグの初CD化ということで、LPからの復刻がなされて、数曲と共にブルックナー4番の録音がCDになって売られた。
キャピトル・レコードはEMIに買収されてしまったようだ。新しいレコード会社のEMIのロゴが見える。1997年の発売とされている。昔を思い出して欲しいのか、キャピトル・レコードの古いままのジャケットが使用されている。でもお金をかけない安上がりか、何ともうらがなしい。スタインバーグのブルックナー4番がCDで聞ける初出である。


次にCDとしてブルックナー4番が登場するのは、20年後の2017・5・30に発売されたセット物であった。
『ウイリアム・スタインバーグの芸術』(28CD)の9枚目にブルックナー4番が収められている。しかし単独で分売はされなかったようである。こういうセット物の復刻は以降何度か作られた。


以上で、1956年録音のキャピトル・レコードのLP、1997年のレコード会社がキャピトルからEMIに移籍して初CD化がおこなわれた盤、2017年以降のEMI傘下でのCDの数種類の組物がある。


スタインバーグはブルックナー8番以外は一回限りの録音に終始した。4番・5番・6番・7番とかなりのブルックナーの交響曲を録音しているのだが、フアンを引き付け繰り返し売り出されて聞かれたのとは違うようである。


スタインバーグの7番がクナッパーツブッシュの8番と抱き合わせで売られたという、何とも不思議なCDもある。録音の権利のあるEMIから7番の使用権を買ったものだろう。


あるいは著作権が切れて、自由使用になって、自由に録音が使える音源ということからCDを販売したのかも知れない。ストラビンスキーは自分の作品に著作権が切れる手前で加筆して著作権の延長をしたという。1914年版『ペトルーシュカ』はストラビンスキーが著作権有効期限内に加筆を怠ったので、自由使用になってしまったといわれている。


分売のスタインバーグの7番はこれしかないから、貴重盤であることは間違いがない。最重要な4番の録音が単独で販売されることが重要である。今の所4番をCD1枚物で入手できないのが不満だ。これがスタインバーグの4番の実力が普及しない原因なのだろう。