続パスカルの葦笛のブログ

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レイフ・オヴェ・アンスネス指揮ピアノ・スウェーデン放響でモーツアルト24番

ともかく情報量の多い演奏である。アンスネス(1970-)はモーツアルト研究では造詣が深い。


ラルゲット(中間楽章)で、14小節で明らかに楽譜にない装飾音符を演奏していた。
それは62小節のオーケストラからピアノ・ソロに経過する所でラレンタンドでテンポを落としてピアノソロに入り、67-69小節でも楽譜にない装飾音符を弾いていた。


前後するが、38小節後半でラレンタンドでテンポを落とした演奏には実に驚きであった。
これはエドウィン・フイッシャーの古典的な名演の踏襲である。ピリオド奏法では異例な伝統の影響である。ピリオド奏法ではこれが出来ないのだ。


そういえば、楽章の最後で、アンスネスはカーゾンのやったラレンタンドで終わった。
カーゾンの演奏にすら目配せの出来る男なのだ。ピリオド奏法としては異例な伝統的解釈に配慮している。
ちょっと引用した楽譜では見にくいのだが、85小節の中間の4分音符で、カーゾンは相当古い演奏なのだが、楽譜にない装飾音符を弾いている。この時代でも分かる人はモーツアルト時代には装飾音符で弾いているということは感覚で分かっていたのだ。


随所で造詣の深い解釈をちりばめたアンスネスの素晴らしいモーツアルトの演奏であった。