続パスカルの葦笛のブログ

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前代未聞の歌う指揮者バーバラ・ハンニガン指揮デンマーク放響のマーラー4番

バーバラ・ハンニガン(1971-)はソプラノ歌手で指揮者という異色な存在である。多分本番は第四楽章で器楽部分は付け足しということになるのだろうと思いきや、純然たるマーラー指揮者の演奏であった。というよりプロの指揮者のマーラーの演奏であった。


ということで本番の声楽部分はいささかげんなりとさせられた。多分オーケストラを背にして観客に向かって歌ったのだろう。指揮しながら観客を背にして指揮棒を動かしつつ歌ったら、大成功したのではないか。この方が混然一体となったはず。


第一楽章は、ハンニガンは対位法を駆使して演奏処理した点が凄かった。これだけで傑出していた。
第一バイオリンのメロディーとチェロのメロディーを同時に進行させていた。ハンニガンは執拗に対位法を駆使した演奏法をした。第二楽章以下は中止されたがこれだけでも凡庸ではない。


55小節の第一バイオリンの最後の8分音符2つにリテヌートを掛けてテンポを落としていた。
55小節からラレンタンドにしたのはワルター指揮フランス子国立管弦楽団、リテヌートはメンゲルベルク指揮アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団である。ハンニガンはアゴギークをする人なのである。


91,93小節でもハンニガンはテンポを落としている。


337小節のホルンの後半からハンニガンはラレンタンドを掛けてテンポを落とした。
337小節からリタルランドにしているのがワルターである。
つまりハンニガンは彼らと互角の演奏をしているわけで、十分マーラー指揮者といえるのだろう。