続パスカルの葦笛のブログ

FMラジオやテレビやCDのクラシック音楽の放送批評に特化したブログです。

トリオで装飾音符を演奏した祖ルネ・ヤコプスのモーツアルト『ジュピター』

ルネ・ヤコプス(1946-)がモーツアルトの『ジュピター』を録音したのが2006年で、16年も経過した。モーツアルト演奏の急先鋒を演じてきた。モーツアルトの交響曲第三楽章トリオで、楽譜にない音符を装飾音符で演奏するという画期的な研究を発表して、モーツアルト演奏を常にリードしてきた。


ヨーロッパのスペシャリストや山田和樹などは踏襲したが、日本ではまだ追従はそう多くはない。装飾音符を演奏する音符がどれか特定する論理がないのだ。それが支持者を得られない理由である。


もう一つのルネ・ヤコプスの欠点は、古楽研究とスタンプレイの見分け方がつかな所だ。途中脈絡もなく速めたり遅くしたりの演奏がある。時に聞きずらくなる。それが多用されると聞きずらい。ヤコブスのモーツアルトが普遍性を持たないのはそういうところがあり、思ったほど聴衆を獲得しないのだろう。弟子筋のピションの方が聞き易さがある。


やはり最大の眼目は第三楽章トリオの演奏であろう。
64小節の木管、84小節の木管で装飾音符を付けて演奏させている。
ヤコブスはダ・カ-ポで装飾音符を付けて演奏させている。


下部の紫色は、弟子のピション指揮フライブルグ・バロック・オーケストラ2020年の演奏である。もう14年前にヤコブスは先駆者としての先行の演奏をしているわけである。


ここがこのCDの聞き所でもあろう。(ルネ・ヤコプス指揮フライブルグ・バロック・オーケストラ、モーツアルト交響曲41番『ジュピター』)