続パスカルの葦笛のブログ

FMラジオやテレビやCDのクラシック音楽の放送批評に特化したブログです。

ルイージ指揮NHK交響楽団のヴェルディ『レクイエム』

今回のNHK交響楽団のヴェルディ『レクイエム』はルイージの勉強不足なのではないか。唯一救われたのが脱トスカニーニ色だろう。コマーシャルでも使われる第二曲「ディエス・イレ」の冒頭アレグロはトスカニーニの伝統の2小節アダージオ3小節からアレグロという演奏を排して冒頭から速いテンポのアレグロで演奏したことだ。


イタリア人指揮者としては従来はビクトリオ・グイ(1885-1975)だけが冒頭からアレグロのテンポでヴェルディの『レクイエム』を演奏していて、荘厳というより軽味を出したが、ルイージも荘厳ではなく軽味がヴェルデイの身上なのだということを伝えた。
とは言え、トスカニーニの荘厳な味の出し方は永遠不滅だろう。だから皆が踏襲している。しかしイタリアではグイの味が正当なのだとも言えるわけだ。


そして同曲の137小節のトランペットで、マルケヴィッチはポコ・リタルランドを掛けていた。
マルケヴィッチ指揮モスクワ・フィルのライブ盤はこの指揮者の作曲家の面目躍如を示した名演奏でもあろう。全曲の随所で卓抜な解釈を披露している。


マルケヴィッチの演奏会が余りの名演だったことから、レコード化されたわけだが、未だCDにはなっていないのかも知れない。作曲家中田義直は、この人はカラヤンのように音響の響きにこだわり、アゴギークの掛かった演奏は忌避する人なのだが、どういうわけかFMでマルケヴィッチの演奏を紹介していた。結構それを多用しているのだが、何故そんな人が紹介したのか不思議な気がする。幸い中古レコード店で出会った機会があり買い求めたわけだ。これも一期一会か。