アーベントロートの至芸を伝承したルイージ指揮NHK交響楽団のベートーベン・バイオリン協奏曲
ブラームスの2番は肩透かしを食った演奏でした。というわけで、前半のプログラムのベートーベンのバイオリン協奏曲を論じます。これは名演でした。今では珍しいアーベントロートの名演を受け継いだ金無垢のドイツ正統派の傑作であった。
第一楽章の17小節の第一バイオリンの3つの8分音符をpで演奏したした時、身が震えました。
おっ、これはオイストラッフ・アーベントロート指揮ベルリン放送交響楽団1952年の演奏と全く同じ解釈ではないか。そこまでするか。
予感は、330小節のホルンの演奏に至り確信になりました。
ルイージ指揮NHK交響楽団は、アーベントロートがここでホルンにリタルランドを掛けて演奏したことと、まったく同じにリタルランドを掛けた。これは凄い演奏になった。
この演奏はドイツでも平均的な伝統というよりは、全くアーベントロートの個性的な解釈ではないかと考えるわけである。それをルイージが踏襲したものだ。
アーベントロートの至芸が今日ルイージに伝承されたということだろう。確かにその価値はあろう。
ルイージ指揮NHK交響楽団ジェームス・エーネスのソロでベートーベンのバイオリン協奏曲。(2022・9・21)