続パスカルの葦笛のブログ

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円熟の進化目覚ましい広上淳一指揮アンサンブル金沢の『エロイカ』

広上淳一のアンサンブル金沢に転出したお披露目公演としては『エロイカ』の演奏は成功したものであろう。円熟の進化目覚しい演奏であった。


第一楽章が、今日では小数派になってしまった反復を実行していたのも好ましかった。


319小節のテインパニで、後半からクレッシェンドしていたのが注目された。
この部分はワインガルトナーの教則本は小節全体にクレッシェンドするようになっているが、マタチッチ指揮チェコ・フィルの演奏では後半からとにしている。この方が実践的効果があるのだろう。ということで広上淳一もマタチッチの演奏の方を選択している。


655小節のトランペットのワインガルトナー修正では、広上淳一は修正をしなかったようだ。
その代わりと言ってわけでもなかろうが、658小節にクレッシェンドを掛けていた。


661小節では、やはり後半にテインパニを掛けていた。
マタチッチは663小節のトランペットをfで強奏させているが、広上淳一はそれをテインパニに移して強奏したどころに独創がある。そして意外にマタチッチの『エロイカ』の演奏に影響を受けているのであった。