続パスカルの葦笛のブログ

FMラジオやテレビやCDのクラシック音楽の放送批評に特化したブログです。

旨過ぎるラハル・シャニ指揮PMFオーケストラのブラ2番

ラハル・シャニ(1989-)、もう既に巨匠の域に達している。これから発展すると何処まで成長するのか。それを考えるとそら恐ろしい気がする。


今年の名演年間ベストテンの第一位と言っても過言ではないだろう。


第一楽章の10小節からのホルンの旋律線を強調するのだが、その下部の13小節のチエロの旋律線を歌わせる。
チエロの強調はカイルベルト指揮NHK交響楽団の演奏なのだが、これはいわば対位法的処理といえるが、ラハフ・シャニはこれを三声部でも強調して歌わせるのが凄い。一か所で旋律線が三方から聞こえるのだから、よほど計画性がないと煩雑に聞こえる。さらに低弦の地響きがするような強調も半端ではない。ともかく旋律線の歌わせ方が凄いのだ。


282小節のテンパニの処理も半端ではない。
トスカニーニ指揮NBC交響楽団とメータ指揮ロスアンジェルス・フィルの演奏は、281小節の最後の8分音符をアクセントを付けて間をあけて282小節のffが強調されるものだが、はるかにラハフ・シャニはメータを凌駕した演奏を提供していた。ここが解釈の頂点であったろう。


第三楽章の125小節辺を素通りしてしまった欠点がないではないが、それをあげつらうよりは、名演に酔う快感を選びたい気になる。


第四楽章などは初めから終わりまで全編名演といえたであろう。


O2022年7月31日。