続パスカルの葦笛のブログ

FMラジオやテレビやCDのクラシック音楽の放送批評に特化したブログです。

ラハリ・シャニ指揮PMFオーケストラの『オベロン』序曲

おまけ。


ウェーバー作曲歌劇『オベロン』序曲。音楽は付け足しではなく、極上の演奏であった。10-15小節は楽譜にないドイツの伝統的な慣習法に基づくテインパニの加筆があった。
左頁11小節のチェロの3つのピチカートをテインパニで打たせていた。


ここは伝統的な奏法では、最初のピチカートのみがテインパニで打たれる。テインパニ3つは異稿だろう。実に面白い。


右頁の14-15小節は伝統的なテインパニのトレモロであった。


さて、181小節で、2拍からテンポを落とすのが伝統的な演奏法なのだが、どうもラハフフ・シャニはテンポを落とすのが苦手な指揮者ではないかと思うようになった。コンヴィチュニーとかルーマニアのジョルジェスクはテンポを落とすのが苦手な巨匠である。その同類らしいのだ。
斎藤友香里指揮東京交響楽団(22・2・3)は、ここを2拍からラレンタンドを掛けて3段目から極端な程テンポを落として実に見事なドイツ正統派の演奏を見せた。


これをラハニ・シャニに求めるのは酷というものだろう。別々の道があるわけだ。


余談だが、ルービンシュタインがテンポを落として好き勝手に演奏をしていたら、ヨゼフ・ホフマンが見ていた。それに気づいて、ウィンクをすると「こうゆうのもあるんだよ」と言ったという。続けて「もし君がそうすることが出来るならの話だけどね」と言った。先生としてのルービンシュタインは厳格な教師で拍子を守らせていた。勝手には弾かせなかった。


厳格な拍子を守つていると、時計を刻むような演奏法になり、やがてそこから抜け出せなくなる。