続パスカルの葦笛のブログ

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楽譜にない装飾音符を演奏したヘルベッヘ指揮フランクフルト放送交響楽団のモーツアルト38番プラハ

これはフランクフルト放送交響楽団の公開配信したユーチューブで、この手のものは意外に名演がある。古楽器奏法の大家ヘルベッヘの指揮で、モーツアルトの交響曲38番プラハの演奏だが、ヘルベッヘの指揮が見られるというのもお宝映像ながら、最大の見っけ物があった。


モーツアルトの交響曲の第三楽章メヌエットでは、楽譜にない装飾音符を付加して演奏するという演奏法は、先進的なモーツアルト演奏の典型になっているのだが、ではメヌエット楽章を欠いた三楽章形式の交響曲ではどうなるかという疑問があった。


ようやくこの疑問に答えた演奏がヘルベッヘの演奏だった。従来では解答を出そうと思っても出せなかったわけだが、彼なりの解答を出したわけだ。その点が凄い。


モーツアルトが従来の三楽章形式の交響曲を四楽章形式に進化させたわけで、その彼が先祖返りしてしまったわけだ。さすがのヘルベッヘもここでモーツアルトを先祖返りさせてしまうわけにはゆかず、メヌエットを想起させる手に出た。それが第二楽章のコーダの手前で、ヘルベッヘに言わせればここがメヌエットだということになる。


第二楽章アンダンテ、127-128小節のフルートに楽譜にない装飾音符を演奏させていた。
フルートの4分音符に装飾音符を付加させて演奏させたのである。


これで長年のモーツアルトの三楽章形式の交響曲での第三楽章における楽譜にない装飾音符を演奏する術を与えたように思う。懸案の課題に解答したヘルベッヘの実力の凄さを思うのである。