続パスカルの葦笛のブログ

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朝比奈隆の影響を受けたルイージ指揮NHK交響楽団のブルックナー2番

ブルックナーの2番1872年稿の演奏は初めて聞くが、さすがに冗長の気がしないでもない。


ところで2番は日本の朝比奈隆や小沢征爾の得意とする音楽で、逆に欧米人の不得意とするところだ。カラヤンに手垢がつていないから「おまえ向きだ」と言われて、小沢征爾は得意とすることになった。朝比奈隆も先例や伝統のない2番の演奏をどうやって自分のものにするか苦慮したという。そこで他の演奏の伝統を2番に生かすという手法をとった。


それが第四楽章の680小節の所の解釈で、朝比奈隆の発明といわれる所だ。伝統的にリタルランドする箇所を、先例のない所でやってみた。
誰それの巨匠がしているという先例が2番にはないわけである。しかし他の交響曲では数多の巨匠がテンポを落とす箇所は限られているわけで、同様の解釈を2番に適用させたわけである。


だから朝比奈隆が先駆的に2番でこれをやった。知られた巨匠たちは2番は演奏しないから、ここは朝比奈隆が最初にこの解釈をしたと言える。


さて、ルイージ指揮NHK交響楽団も今夜ここでリタルランドを掛けて演奏した。僭越ではあるが、朝比奈隆の影響をルイージは受けたと見なせるのである。シカゴ交響楽団の事務局長が朝比奈隆のブルックナーの交響曲全集のCDをバレンボイムに渡して聞いてみてくれと言ったと言う。バレンボイムは朝比奈隆のブルックナーを聞いたか。多分事務局長の意見を尊重して無鑑査でシカゴ交響楽団に招聘されたのであろうが、ルイージは日本で朝比奈隆の演奏を聞いた可能性はあるだろう。2番の演奏の資料は乏しいし、容易に彼のCDは手に入れられる。ルイージの独自の研究で到達したことも十分ありえる。