続パスカルの葦笛のブログ

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ルイージ指揮NHK交響楽団のモーツアルト36番『リンツ』

メンデルスゾーンよりモーツアルトの方がルイージの独自性が出ていたので、モーツアルトを論評します。


第一楽章、35小節にクレッシェンドを掛けたのが、ルイージとラクリンであった。
ラクリン((1974-)は日本ではほとんど知られてないが、今夜のコンサートマスターの篠崎まろ氏とはウィーン音楽大学の同窓で、まろ氏が演奏すると必ず最前席で傾聴していた可愛い後輩だそうである。バイオリニストで指揮者に転向して、今はノルウェーのクリスチャンサンド交響楽団の指揮者である。36番はなかなかの名演である。


141小節のテインパニは古い楽譜では全音符だが、トン・コープマン指揮アムステルダム・バロック・オーケストラは管楽器の音型を打たせていて、ルイージも踏襲していたようだ。


第二楽章、11小節の第一バイオリンの横S記号(ターン記号)が古い楽譜にはついているのだが、コープマンは無しだし、ラクリンもルイージも無しで演奏している。
ピリオド奏法の影響を受けた世代はターン記号は無視するのが習わしのようである。
21小節もやらない。


第四楽章、401-403小節のラクリンの解釈は絶品であった。
ラクリンは401でppに弱め、402でクレッシェンドを掛けて増音にして403でfに強めた。ダイナミクスはくっきり浮上した。なかなか手練手管のある人だ。そういう点でルイージより頭抜きんでていた。