続パスカルの葦笛のブログ

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コリンズ版の大成功マケラ指揮オルロ・フィルのシベリウス2番

コリンズ(1893-1963)はイギリスの指揮者でシベリウスの大家であったが、彼は大胆なシベリウスの修正でもしられていた。シベリウスの2番は原曲のままでは不都合があって、それをどうアレンジするのが指揮者の能力だともいわれている。


フィンランドの俊英指揮者チャールズ・マケラ(1996-)が大胆にも祖国フィンランドの巨匠シベリウスをオリジナル楽譜ではなくて、イギリスの往年の名指揮者コリンズの伝統版を踏襲して録音したというのが、最大の魅力であろう。


コリンズのシベリウスを最大評価したというマケラのシベリウスの2番というのが良い。コリンズのはモノラル録音で音が悪い。解釈は良いが音が悪い。そういう意味ではコリンズの最大の欠点を克服したことになる。2021年の録音で、最新の録音である。あらゆるシベリウスの2番の演奏で、ついに決定盤が出たといえよう。過去の演奏を不要にし、今後10年マケラの2番にかなうものは出ないだろう。


第四楽章を見て見よう。


Bの7小節前、トランペットの空白部分を生めたのがコリンズの修正であった。
この修正こそコリンズの真骨頂なのだが、マケラでようやく現代に甦った。これを現代の良い音で聞こえるのがうれしい。


M前でマケラはテンポを落とした。
まさに伝統の踏襲である。


次にSの所でコリンズはチュバの空白を埋めた。
これもコリンズの修正である。
シベリウスの2番の長年の不満をマケラは一気に解消してくれたのであった。


ある面ではオスロ・フィルなど市場価値の薄いオーケストラを、マケラという個性で挽回しているのが凄い。