続パスカルの葦笛のブログ

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パーヴォ・ヤルヴィ指揮ドイツ・カンマー・フィルでベートーベン8番

パーヴォ・ヤルヴィ(1962-)はロサンンジェルス・フィルハーモニー音楽学校でバーンスタインの薫陶を受けたという経歴があるが、なるほどと言わせる箇所があった。どちらかというとピリオド奏法が基本なのだが、モダン・オーケストラを使用して、ピリオド・オーケストラに固執しない。


ヤルヴィの特長はベートーベン8番、第一楽章の冒頭から現れていた。
冒頭アタッカ(全奏)から異常な速さで開始されるが、5小節のクラリネットからはア・テンポ(元の速さ)に戻される。


異常な速さと穏当な速さという組合わせは全曲で支配されている。


43-44小節で、ヤルヴィはバーンスタインの弟子といことが理解できる演奏になっている。
ritard.の指定があるが、バーンスタイン指揮ニューヨーク・フィルの演奏では、2拍目からラレンタンド(テンポを落とす)をやっているが、まあ印刷の記号直下でやってもいいのだが、バーンスタインは洒落た人で月並みは面白くないわけで、こういう余人のしない演奏をする。ヤルヴィが師匠よろしく同じにしているわけだ。強い師匠と弟子の関係があったと判定したい。


201小節の弦楽器で、ワインガルトナーはインテンポで演奏しろと教則本で提言しているが、ヤルヴィは異常なほどテンポを速くして演奏させたいる。非常に面白い。反対解釈なのだ。そして201小節の木管ではア・テンポで穏当な速度に戻るのである。
部分的に異常な速さで演奏するのがモダンでヤルヴィの個性と考えている。


各楽章の開始を異常な速さで開始するがすぐ穏当な速さ戻している。ここにヤルヴィのしたたかな計算があるようだ。