続パスカルの葦笛のブログ

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ウェルザー=メスト指揮クリーブランド管弦楽団でシューベルト交響曲8番

第三楽章が濃厚な解釈があった。ゼッキ・ワルター・マーグの影響下に圧倒的な巨匠性を顕示したといえよう。


第一楽章。
94小節に入るや、ダイナミクスの強化といいテンポのアッチェレラントを掛けて速さの凄みを見せた。この手法はカルロ・ゼッキ指揮チェコ・フィルの演奏であった。


さて、201小節のトロンボーンだが、新全集版は2小節にわたって延長されるが、旧版のままの演奏であった。おしなべて旧版の演奏のままだ。324ー325小節のテインパニは旧版がトレモロで新版が2分音符2つで、旧版を使用と判明する。


第二楽章。
123小節の第一バイオリンで、4分音符に強いアクセントをフルトベングラー指揮ベルリン・フィルは掛けて魅力的になっているが、ウェルザー=メストもそうしていた。


興味深いのは第三楽章であった。
167小節のフルートで、最後の4分音符のスタッカートを寸止めしてかなりの間をあけて次小節に移る。非常に特徴的である。これはワルター指揮ロンドン交響楽団1938とマーグ指揮NHK交響楽団の演奏であった。
この4分音符の寸止めと続く間は凄い演奏だった。155小節にもあったのだが、ワルターとマーグ以上に強調したのは、ウェルザー=メストの創意工夫だった。


さらに204小節のダ・カーポだった。
これもワルターとマーグが先行しているが、この二人はリテヌートでたっぷりテンポを落とす解釈だったのに、そこまではやらないテヌートないしアクセントで演奏した。
396小節のダ・カーポで、同じことをした。これも独創的。


誠に濃厚な解釈が顕示された。


第四楽章。
126-129小節のテインパニもゼッキとウェルザー=メストがテヌートで打たせた。


746-751小節は伝統的なテインパニの加筆をしていた。


914-930小節もゼッキの影響濃厚のように見えた。


さて、最後の和音だが、デイミヌエンドはピン記号ないしはアクセントで短く終えた。これは新版楽譜の反映ではある。