続パスカルの葦笛のブログ

FMラジオやテレビやCDのクラシック音楽の放送批評に特化したブログです。

こんな名演聞いたことがないゴンザレス指揮スペイン放送交響楽団のサンサーンス3番

サンサーンスの3番の決定盤はセルジュ・ボドだと思っていたが、パブロ・ゴンザレス(1975-)に越えられてしまった。超迫力の名演でした。


フィナーレのコーダは、ゴンザレスのこれでもかこれでもかという伸縮自在なアゴギークに酔ってしまった。この驚くべき奇才指揮者に脱帽しきりである。
デユラン版171頁のGG前で、ゴンザレスはラレンタンドにしてテンポを落とした。
そしてすぐテンポを戻した。
次に、オルガンの総奏の後3つの2分音符でリテヌートを掛けて急にテンポを落とした。
それが終わるとテンポが戻され、また3つの2分音符になるとリテヌートでテンポが落ちるのである。それからが凄い。次の小節ではテンポを落とすというよりテヌートでじっくり弾かれるのだ。ここは2小節同じ音符だが、さらに次の小節ではアッチェレランド(加速)されるのだった。8分音符が加速するから漫画チックである。
さて最後の終結である。
下の緑色鉛筆はボド指揮NHK交響楽団1982年の演奏で、3つの4分音符にリタルダンドが掛けられて階段式にテンポが落とされるのである。これこそが名演の決定盤だった。


しかしゴンザレスはまったくボドの様式を踏襲しているのだが、2倍の遅さにデフォルメしていた。


しかも前の3つの4分音符もリテヌート(均等にテンポを落とす)をやっていた。ボドよりもどぎつい表現をした結果になった。


おまけにゴンザレスは3つの全音符の2つ目でテインパニを一打打たせたのには恐れ入った。強の者だ。