ヤン・リシエツキ独奏指揮アカデミー室内管弦楽団のベートーベン『皇帝』
カナダのピアニストのヤン・リシエツキ(1995-)による2018年のライブ録音によるベートーベンのピアノ協奏曲5番『皇帝』。
自分でオーケストラの指揮もするという強者だから、相当灰汁の強い人なのかと思うと、さほど自我を押し付けるようでもない。
第一楽章の166小節のcresc.をfで弾くころから個性が出始めた。
310小節の管楽器をポコ・リテヌートで明白にテンポを落として演奏させたのが目立った。
337小節の低弦をポコ・ラレンタンドでテンポを落とさせたのは所からユニークさが発揮された。
345小節からリスエツキはア・テンポで元のテンポに戻るが、9小節間は相当テンポが落とされて演奏されたから、ユニークだ。
フィッシャーやラローチャなどもテンポを落としている。
ユニークといえば、497小節以下だろう。
リスエツキは497小節でリテヌートを掛けて相当テンポを落とした。498小節後半で少しテンポを速め、500小節からアッチェレランドを掛けて加速した。そのアゴギークの塩梅は相当のものだといえよう。