続パスカルの葦笛のブログ

FMラジオやテレビやCDのクラシック音楽の放送批評に特化したブログです。

バリー・ダグラス、フィリップス指揮アルスター管弦楽団のベートーベン『皇帝』

ピアニストのバリー・ダグラス(1960-)、チャイコフスキー・コンクールの優勝者。来日したこともあるピアニスト。随分懐かしい名前である。


アルスター管弦楽団の所在地にして、バリー・ダグラスの生地が北アイルランドのベルファーストだという。ベルファーストと言えばテロの地ではないか。1960年代のベルファーストはアイルランド人とイギリス人が対立してテロを繰り返した殺人と暴力の町だ。しかし今では平和と音楽の町になった。


なるほどベートーベンの『皇帝』は激しい音楽となった。オーケストラも激しく鳴っている。バリー・ダグラスのピアノ・テクニックは衰えを知らない。これほどまでに激しく鳴らせるのは、日本の聴衆向きである。テロに向かう激情が音楽に向かったということになる。そういう意味では感情移入を十分音楽の中に吸収させる力がベートーベンの音楽の中にはあるわけだ。