続パスカルの葦笛のブログ

FMラジオやテレビやCDのクラシック音楽の放送批評に特化したブログです。

スクロヴァチェフスキ指揮ガリシア交響楽団のブルックナー4番

この人の伝統回帰にも凄いものがある。アメリカ時代は機能一点張りの機能主義者で、楽譜に書いてあることを如何に音にさいげんするかに腐心した指揮者だった。そしたら古臭いブルックナーを取り上げ、しかも伝統的な解釈に復帰した。彼の本音はここにあったわけだ。伝統的な解釈を知らないないのではなく、ただ封印していただけだったのだ。


多分伝統的な解釈では、大陸で個性を発揮できる自信がなかったのであろう。時代もそうなのだが、戦後でアメリカ至上主義なところがあり、アメリカ人に受けなければ始まらない空気があった。小沢征爾の代役で23年ぶりにベルリン・フィルに招かれたが、23年まえのベートーベン7番の録音を持っているが、23年間招待されなかった平凡な演奏である。


オーケストラのガルシア交響楽団はスペインのオーケストラである。旧北ドイツ響のエルプフィル、フランクフルト放送響と、ユーチューブでの放送に熱心で、興味津々の演奏会を公開している。ヘルベッヘの指揮などが見られるのが有難い。スクロヴァチェフスキの指揮などもその一つだ。(2014・6・20)


第一楽章。
11小節の弦楽器で急にクレッシェンドするのだが、マーラーの編曲版の影響があるらしい。(1:10)


圧倒するのは、325小節のテンパニで、楽譜にない演奏を付加している。
クナ、フルベン、カラヤン、ムーテイ、テンシュテット、メータといった御仁までがテインパニを打たせている。勿論今回のスクロヴァチェフスキ指揮ガルシア交響楽団もテインパニを加筆している。


面白いのが、第四楽章で、わざわざシンバルを打たせていることだ。
75小節である。
これもマーラー編曲版の影響なのかな。よほど印象深いのか90歳でウィーン・フィルに招かれたブロムシュテットは楽譜ではトレモロが開始している中、一打を打たせていることだ。クレンペラー指揮ケルン放送響ではシンバルで打たせているが、明白にマーラーの影響なのだろう。


ともかくユーチューブのクラシック演奏会は穴場である。