続パスカルの葦笛のブログ

FMラジオやテレビやCDのクラシック音楽の放送批評に特化したブログです。

コーダで超絶技巧のエッシェンバッハ指揮KBS交響楽団のブラームス4番

エッシェンバッハは第四楽章のコーダで、超絶技巧のリタルランドを披露した。今年最大の名演と言っていいだろう。


第二楽章。
83小節の2つの8分音符にポコ・リテヌートを掛けて、ようやく本腰の演奏になった。これはシューリヒト指揮バイエルン放送交響楽団、バレンボイム指揮ベルリン・シュターツカペルレの演奏でもある。


第三楽章。
34小節のテインパニにクレッシェンドを掛けた。88小節も同様だ。223小節も同様。


この人で面白いのは、121から延々とオーボエを浮上させて演奏されている。この偏愛振りが面白い。一般的にはとてもオーボエが聞こえないのだが・・・。242小節以下もオーボエが強調されている。


最後に、346-347小節、多分エッシェンバッハはここでポコ・リテヌートでテンポを落としているのだろうが、ポコだけあって判別し難い。曰く言い難し。気にはなります。


第四楽章。
204小節のテインパニの空白をエッシェンバッハは穴埋めしていた。
エッシエンバッハは外国のオーケストラで穴埋めをさせているのが珍しい。
ドレスデンに所縁のない指揮者でそうさせているのは、ハンス・シュミット=イッセルシュテット指揮北ドイツ放送交響楽団とエッシェンバッハ指揮KBS交響楽団の2例しか知らない。そういう意味でも異例である。


さらに面白いのは、エッシェンバッハは音程を変えて打たせていた。意味深だね。


と、これで演奏が終わるかと思いきや、299小節からエッシェンバッハはモルト・リタルランドを掛けたのには驚天動地である。
驚き以外のものはない。こんな超絶技巧を披露していいものか。後半はア・テンポで、元のテンポに復帰した。


他に類例の指揮者はいないわけである。


思えばベルリン・コンツエルトハウス・オーケストラのコンマスが韓国人で、いわば凱旋公演であり、同僚への最大のプレゼントという意味があったのであろう。


クナッパーツブッシュを越えているよね。これだけ見得が切れるんだから。オリジナルでもあるし。