続パスカルの葦笛のブログ

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一番新しい演奏法ボストック指揮南西ドイツプフォルツハイム室内管弦楽団のモーツアルト31番

ダグラス・ボストック(1955-)は、何と東京佼成ウインドオーケストラ、東京芸大、洗足学園大学と、日本でお馴染みの指揮者であった。この指揮者が今一番新しい演奏法でモーツアルト演奏をけん引している。


モーツアルトの交響曲31番『パリ』は、ボストックの生涯の代表作になる名演奏だ。20名近い有名指揮者が31番を指揮しているが、随一の抜きん出た名演である。彼が首席指揮者をしているプフォルツハイム室内管弦楽団の2020・10・11のライブ録音で、ユーチューブで公開されている。


第一楽章。
272-279小節のテインパニに独自の加筆をしている。
273,274,279のテインパニの加筆はオリジナルな解釈である。モーツアルトのスペシャリストの卓見だと思う。


コーダの293小節のテインパニで、4拍目からクレッシェンドしているのがブリュッヘン指揮18世紀オーケストラで、ボストックも同様、彼へのリスペクトなのだろう。


第二楽章。
10小節のファゴットにボストックは楽譜にない装飾音符を演奏させている。
近年モーツアルトの交響曲のメヌエットで楽譜にない装飾音符を演奏するというのは常識になりつつある最新の演奏法である。


ボストックはこの近年のモーツアルト奏法に対応した処置だと思われる。52,84小節のファゴットでも反復された。


来日の多いボストックであるから、世界中で今最上の31番を演奏する彼にモーツアルト演奏の極意を伝授されるのも一考か。