続パスカルの葦笛のブログ

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エストラーダ指揮ヨーロッパ室内管弦楽団のモーツアルト38番

エストラーダ(1977-)はフランクフルトhr交響楽団の首席指揮者をしていた時、フランスのヘルヴェッヘが客演して38番を指揮した。(2021・12・3)アンダンテで、ヘルヴェッヘはフルートに楽譜にない装飾音符を演奏させた。


所謂モーツアルトのメヌエット楽章では楽譜にない装飾音符を演奏するという最近の流行のアプローチであった。これにいたく感激したエストラーダは、自分でもぜひ38番ではヘルヴェッヘのアプローチを音にしたいと、ヨーロッパ室内管弦楽団で38番を演奏することになり、実行したのだった。(2023・2・2)


本当は29番が古楽器奏法のアプローチが強く、今週ヨーロッパの最新のモーツアルト演奏の最新流行に接して驚くばかりで、その一端を紹介したかった。管楽器の伴奏の和音をfで強調するのが流行らしい。伴奏が主役を食うのである。それを厭わない。


38番は古楽器奏法が後退している。そういう保守の場で演奏をエストラーダは問うている。それで勝つ気でいるわけだ。


第一楽章。
121-123小節のホルンを、アンスネスとエストラーダは浮上させて演奏させていた。


262-264小節のオーボエを、エストラーダはpをfで演奏させていた。


38番はメヌエットがなく、第二楽章で装飾音符を演奏させたのがヘルヴェッヘであった。
127-128小節のフルートだ。
ヘルヴェッヘ指揮フランクフルトhr交響楽団とエストラーダ指揮ヨーロッパ室内管弦楽団が、フルートの127,128小節の4分音符で装飾音符で演奏させていた。


古楽器学派の創業者世代があり、第二世代がポション、ルネ・ヤコブ、ヘルヴェッヘで装飾音符を強調し、第三世代のエストラーダ、リッカルド・ミナーシは管楽器の伴奏を強調するといった特徴がある。なんと流れの速いことか。


フィナーレで、最後の反復で、エストラーダは面白いことをしていた。
209-210小節のファゴットとオーボエの所だ。
エストラーダは、1回目は無しだが、反復した2回目でラレンタンド(テンポを落とす)をしていた。これは感覚のなせる業か。