続パスカルの葦笛のブログ

FMラジオやテレビやCDのクラシック音楽の放送批評に特化したブログです。

テンシュテットの3種の『エロイカ』ライブ

テンシュテットのボストン響、ニューヨーク・フィルの『エロイカ』は伝説的な評価があり、ライブ故の聞きたくても聞けない事情がなお伝説的演奏を煽り立てた。


1)テンシュテット指揮ボストン交響楽団1977年録音。
2)テンシュテット指揮ニューヨーク・フィル1988年録音。
3)テンシュテット指揮ウィーン・フィル1982年録音。


今はユーチューブで容易に聞けるのが嬉しい。
1)ボストン響は一番録音が古いのだが、テンシュテットの作為が一番出ていて、面白い。何とか西側世界で評価されたいというので、研究熱心でもあった。


第一楽章、142小節のホルンで、ワインガルトナーが1オクターブ下げさせた修正を実行し、かつアクセントを付けて強調している。それはワインガルトナーの影響ではなくて、メンゲルベルクからの影響かも知れない。
ボストン交響楽団の演奏では踏襲しているが、ニユーヨーク・フィルやウィーン・フィルの演奏では中止してしまう。もうそんな作為は無用ということか。


例の657小節からのトランペットの修正の後、668小節のテインパニは空白なのだが、メンゲルベルクとテンシュテット指揮ボストン響ではテインパニを加筆している。
テンシュテットはニューヨーク・フィルやウィーン・フィルではこの加筆を止めてしまっている。


全体的に伝説的な名演奏という評判の割には、そうでもない気がする。ウィーン・フィルに至っては聴衆はパラパラの拍手である。伝説とはかくも当てにならないか。


アメリカやイギリスでは何故こんなに受けるのに、西ドイツでは評判が悪い。ルドルフ・ケンペも評判が悪いのだと言う。ケンペのザクセン訛りが悪い。東ドイツ人は一段低いと見なされる。ちようどリパプールのビートルズの英語がそうなのだという。


もう一つ、NHKの『猫のしっぽカエルの手』で有名なベニシアさん。昔住んでいたジャージー牛で有名なジャージー島を訪問して幼馴染みと再会する。その幼馴染みが、「昔のあなたの英語訛っていたわ」という。サッチャー夫人も真似した貴族英語の発音である。田舎の庶民には英語が訛っていると言う認識なのだ。 階級社会のイギリスが嫌いという人もいる。


3)テンシュテット指揮ウィーン・フィル1982年録音。


これが一番録音が良いのがいい。(面白いのはボストン響。)