ゴルシュマン指揮ボストン交響楽団のベートーベン3番
ゴルシュマン指揮ボストン交響団1944・2・22の演奏。驚異的に良い音である。アナウンサーの声が入っているからラジオ放送されたものであろう。伴奏指揮者として有名な人だけに、まとまった曲の演奏は珍しく、かつユニークな解釈が散見されたことが意外でもあり、一角から全体像を拡大して見ると、相当な大指揮者ということになる。
ウラジミール・ゴルシュマン(1893-1972・3・1)は、パリのスコラ・カントルムに学んで、アメリカで活躍した指揮者。ちょうど日本の高木東六とは入れ替わりで学んだことになる。高木東六と同様スコラ・カントルムでは作曲家バーサン・ダンディから教えられたのであろう。
第一楽章。
550小節で僅かにテンポを落としたのがユニークな所だ。
ポコ・リテヌート、わずかにテンポを落とした。あるいはテヌートで音を引きずる。そこをテンポを落としたところがゴルシュマンのユニークなところだろう。
そして283小節の弦のpの所をpからディミヌエンドにして一層弱めているのがさらにユニークな解釈といえる。
平凡な単なる伴奏指揮者では類例無いこの解釈は出来ぬのであろう。
かような演奏は、実は徳岡直樹氏のユーチューブで紹介されたものであることを明記しておこう。
まことにユニークな解釈であった。
さて、446-447小節のフルートから448小節のテインパニに抜けるセンスの良さは抜群な演奏であったことも言及したい。
テインパニにアクセントを付ける指揮者は他にもいるが、伴奏指揮者で終わらせたのは返す返すも惜しい気がした。つい最近まで活躍した人だった。