続パスカルの葦笛のブログ

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バーメルト指揮札幌交響楽団のシューベルト8番

日本ではアバドが録音した新全集版の8番の演奏は評判が悪く、旧版が通常演奏される。


今回は新全集版に基ずいた第一楽章201-202小節のホルンの延長が演奏された。引用は205小節以降で、2か所で新全集版の変更が見える。
205,209小節のホルンが2小節延長されているのが新全集版なのだが、今回バーメルト指揮札幌交響楽団の演奏で日本では初めて音にされたのではないか。


余談だが、フルトベングラーやトスカニーニ以下巨匠指揮者は古くからこの演奏を実行していて、彼らがシューベルトの自筆譜を見ている証拠になっている。


ほとんどの日本人指揮者はこれを無視しているのが不思議である。


かと思うと、バーメルトは324小節ノテインパニでは新全集ではなく旧版に従ってもいるのである。
旧版のテインパニはトレモロになっているが、バーメルトはそうしている。


ウィーンの指揮者ロイブナー指揮NHK交響楽団は新全集版のはるか以前の1960年代に2分音符2つで打たせている。ロイブナーもシューベルトの自筆譜を見ている。


566-567小節のテインパニでも同じである。
566-567小節のテインパニで、新全集版は2分音符が4つで、旧版はトレモロになっている。バーメルトは旧版のトレモロで演奏している。


折角バーメルトは新全集版を採用しながら、旧版に戻って演奏している。


第二楽章はかなりの名演といえた。


余談だが、9時からのアンスネスの『皇帝』を聞いて、あまりの凡演に急きょバーメルトの演奏に切り替えた次第です。