続パスカルの葦笛のブログ

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小沢征爾指揮水戸室内管弦楽団のモーツアルト35番

オーソドックスに鎮座した小沢征爾のモーツアルト演奏である。その模範は意外にもフェレンチク指揮プラハ・フィル1981年の演奏であった。ハンガリーのクレンペラーと呼ばれた重鎮指揮者だ。(2012・1・19)


第一楽章。
66小節のテインパニはf記号だがフェレンチークと小沢がpにしている。
その他にベーム指揮ウィーン・フィルの演奏も同じだ。


だが172小節のテインパニでpにしているのがフェレンチークと小沢であった。
ここでpにする指揮者は早々ない。


第二楽章。
35小節提示部の終止ではリタルランドを掛けて、最後は間を置いて演奏しているのが、やはりフェレンチークと小沢である。
オーボエの8分音符の前に丁重に間を置いて演奏させている。これが二人に共通している。


それは第二楽章のコーダでも意図的に間を置いて終わっている。


それに小沢に限って言えば、低弦が強調された演奏で、オーソドックスな演奏が身についていた。それがボストンでの学びであったのであろう。時代遅れの白色電球をこよなく愛し、モダンより大陸の古き伝統をこよなく愛したボストン交響楽団の響なのであろう。


小沢征爾76歳の演奏であった。もう名前は忘れたが、若い指揮者に世界で活動するように勧めたが、彼は躊躇した。数年が経過し、「もう君はダメだね」と小沢征爾はもらしたという。日本の垢が付かないうちに、世界の垢を身につけなければ世界に通用しない。国内向けの音楽家になってしまった。厳しいお言葉は演奏に跳ね返ってくるのだろう。