続パスカルの葦笛のブログ

FMラジオやテレビやCDのクラシック音楽の放送批評に特化したブログです。

バイロイト音楽祭を訪れた日本人(3)丸山真男

(2)丸山真男(1915-1996)
戦争中のナチス時代は三国同盟で優遇されていた日本人が多数いたわけだが、音楽に趣味などなかったらしく、バイロイト訪問をした日本人の記録は無い。そんな手合いがナチスに熱狂していたともいえる。


意外にも小林秀雄のバイロイト訪問より、丸山真男の方が早いことが判明した。


1962年、丸山真男はバイロイト音楽祭を訪問していた。東京オリンピックの2年ということだから、実に早い訪問だ。ベルリンなどまだ廃墟があった。


1962年7月「ローエングリン」指揮サワリッシュ。


まあ端的に言わせてもらえれば、ワーグナーは理解の外にあったろう。ワーグナーやブルックナーは当時日本人の理解の外にあったというのが、合理的な結論である。有名なバロック音楽の研究者が、バッハ以前の音楽を研究して何があるんだと言われた時代であった。


1983年「ニーべルングの指環」指揮ショルティ。


この時のバイロイト音楽祭は百周年記念年で、ワーグナーの初演バージョンの復刻版で、面白いことは確かだった。蒸気機関車の蒸気が小人族ニーベルハイムの霧として百年ぶりに再現されたとうので、有名になった。


あまりにバカバカしい演出に呆れたショルティは一回だけの出演で辞退したという曰くつきの舞台だった。


それを丸山真男は観劇したというのだから、ワーグナー通として知られた物理学者の山崎氏はNHKFMの解説を担当していた記憶があるが、インタビューもしてもらいたかった。


この時になるとワーグナー理解は一層深まっていたはずである。もっともサワリッシュとかショルティとか、政治学者としは一流なのだろうが音楽は二流を聞いていて満足していたようだ。そこが淋しい。