続パスカルの葦笛のブログ

FMラジオやテレビやCDのクラシック音楽の放送批評に特化したブログです。

『わが祖国』はウクライナかロシアか、プレトニョフの「モルダウ」

3月10日の演奏会というから3週間前の演奏会、ウクライナ危機の真っ最中の演奏会である。スメタナの交響詩『わが祖国』は古来より大国への小国の抵抗の意味がある。スメタナにとつての敵はハプスブルク帝国、今は小国ウクライナにとってはロシアである。ロシア人のプレトニョフは如何なる態度を取るか、興味津々である。


愛国者プレトニョフなら今この抵抗の音楽『わが祖国』は絶対演奏しないであろう。今こんな時局柄この音楽を取り上げることは、彼は反プーチンなのであろう。そう受け取られても仕方ないはずである。


さて第二曲「モルダウ」を聞いていて、「聖ヨハネの急流」で、プレトニョフの態度が示された。
モルダウ川の激流を、プレトニョフは誰よりも激しく表現した。今ウクライナの都市が爆撃されている。ここにロシア人プレトニョフのロシアのウクライナ攻撃の非人道的行為の告発と読んだ。


やはりスメタナの交響詩「わが祖国」は、大国の小国への横暴に対する抵抗の音楽であり、この時局柄この音楽を取り上げるのも、遠回りながら抵抗する者への賛辞なのであろう。プレトニョフの誠実さの表れなのであろう。十分入魂の名演であった。