続パスカルの葦笛のブログ

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オットー・タウスク指揮ベルギー国立管弦楽団で『ジークフリード牧歌』

ワーグナーの『ジークフリード牧歌』が、フリードリッヒ・ニーチェの命名であることは余り知られていない。


1 ジークフリード牧歌Siegfried-Pastoral.(ワーグナーの命名)
2 ジークフリード牧歌Siegfried-Idyll.(ニーチェの命名)


牧歌(パストラール)は古代ギリシャ以来の若い男女の恋愛劇を起源として一貫して西欧文学に現れた。大岡昇平には西欧文学に現れたパストラール形式の変遷を論じた大論文がある。


そして牧歌形式には、ハッピーエンドに終わるパストラールと、悲劇に終わるイドールとに分かれる。


ニーチェはジークフリートが死ぬので悲劇なのだから、パストラールの用語は可笑しいと論じて、ワーグナーはニーチェの提案を承認したのである。死ぬ英雄の名前を我が子に命名するワーグナーの気が知れない。


さて、ワルハラ城の入場の音楽と結合して『ジークフリード牧歌』が演奏されたので、通常の室内楽ではなくフル編成のオーケストラで演奏された。そういう見識が成功させた。


99小節で、オーボエにタウスク(1970-)は後半にリテヌートを掛けた。
これはクナッパーツブッシュの影響であろう。


127小節のホルンで<>を掛けて演奏させたのはタウスクのオリジナルの解釈らしい。
この解釈は評価できる。


334小節の3つの4分音符にタウスクはリタルランドを掛けた。
マタチッチ指揮NHK交響楽団の素晴らしい演奏がある。しかしタウスクが聞いたのはトスカニーニ指揮ニューヨーク・フィルの演奏であろう。いずれにしてもタウスクはここで印象深い演奏をした。


タウスク指揮ベルギー国立管弦楽団(2022・2・6)