続パスカルの葦笛のブログ

FMラジオやテレビやCDのクラシック音楽の放送批評に特化したブログです。

小泉和裕指揮名古屋フィルの『アルプス』交響曲

ドビッシーが海の作曲家だといえば、リヒアルト・シュトラウスは山の作曲家だろう。もう一つ、この二人は葛飾北斎の版画に基ずく音楽を作曲している。ドビッッシーの交響詩『海』だ。品川沖からの富士山をえがいた。リヒアルト・シュトラウスは皇紀2600年祝典序曲で、別名交響詩『赤富士』だ。


近衛秀麿は皇紀2600年記念に、祝典音楽をリヒアルト・シュトラウスに依頼するのであるが、お公家さんは富士山というと噴火富士山を連想するので、リヒアルト・シュトラウスに詳細に噴火する富士山を説明した。リヒアルト・シュトラウスは要するに葛飾北斎の版画『赤富士』と誤解した。富士山が赤く噴火しているところ。そんなイメージが祝典序曲だ。それをイメージに作曲したのである。何一つ日本のメロディーがないのだ。プッチーニの『蝶々夫人』は日本のメロディーが幾つも利用している。優秀な音楽家だけにその点が不思議である。


ちなみにリヒアルト・シュトラウスはこの作曲報酬で、ユダヤ人嫁をアウシュビッツから解放している。富士山は女の神様だから、女つながりがあった。


余談が過ぎたが、練習番号18が良かった。
テインパニの18の2小節前のcrescを小泉は強調し、18に挟まった2つの4分音符をリテヌートぎみにテンポを落としていた。


ここはNHK交響楽団でお馴染みのドレバンツ指揮バーゼル交響楽団の名演が光っていた。茶色色鉛筆がドレバンツの演奏である。18の所で、リタルランドトリテヌートの組み合わせて名演をものしていた。演奏当時92歳だったというのだから嫌になる。詳細なニュアンスを付与していた。


練習番号80番前後も凄かった。
テインパニで、80-1の8分音符を小泉は4分音符でアクセントを付けて打たせていた。おもしろいのは小泉はドレバンツとまったく同じffで打たせた。


ドレバンツの92歳の驚異の指揮が偲ばれた。