続パスカルの葦笛のブログ

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もうフルトヴェングラーっ子とは云わせない。バレンボイム指揮ベルリン国立歌劇場管弦楽団のブラームス4番

熊本県民会館のお知らせを見て12月の公演がバレンボイム休演でテイーレマン代演のお知らせがあった。1月6日には月末を以てベルリン国立歌劇場の監督を退任することを発表した。2月2日のラジオでは、バレンボイムは引退した後ということになる。それが相応しいことかどうか、迷うことだが、これで永遠にバレンボイムの指揮に遭遇しないことだけは確かなのだ。


ということで、バレンボイムの引退後に、ブラームス交響曲4番を聞くことになった。録音は2017年だから6年前になる。今年バレンボイムは81歳、老大家なのだ。しかし聞いてみて、老熟ぶりが感じられて安心した。彼は既にフルトヴェングラーを卒業して、新たな境地を切り開いたことが何よりであった、というのが率直な感想である。6年前だから、野望もあり野心も健在であった。10年は頑張れるという境地であった。終身監督とは大きく出たわけだが、それだけやりたいことがあった。その目出度い兆しはこの演奏にも見えるのである。


傑作は第三楽章で、カルロス・クライバーを越えたし、4番で彼を凌ぐものはないことが判明した。大いなる反復かと思われた晩年は、豊かな兆しを示していた。10年の半分でとん挫したことは痛ましい限りだ。


第一楽章。
116-118小節のホルンは通常では沈没している所だが、何故かバレンボイムは強調して見せた。
この辺から通常のバレンボイムではなくなってきた。


122小節のホルンで、2つの16分音符の強調も際立っていた。


際立ったのは、413小節のテインパニの後半のクレッシェンドであろう。
バーンスタイン指揮ウィーン・フィルの演奏はffで強調した。この解釈も素晴らしい。しかしクレッシエンドしたのがシューリヒト指揮バイエルン放送交響楽団の演奏であった。同様にしているのが、バレンボイム指揮ベルリン国立歌劇場管弦楽団の演奏であった。


人はバレンボイムというとフルトヴェングラーの影が一生を付きまくったフルトヴェングラーっ子のように揶揄された。その正否はともかくとして、フルトヴェングラーの影響は微塵もなく、それを一掃したのである。


新しいベルリン国立歌劇場管弦楽団でやりたい演奏はカール・シューリヒトだった。彼のような指揮者になりたかったのだ。これがその根拠だった。


コーダの演奏もまたシューリヒトの影響絶大であった。
434,435小節のテインパニのアクセントの強い演奏はシューリヒトとバレンボイムだった。


438小節のテインパニでクレッシェンドを掛けているのがシューリヒトとバレンボイムだった。


バレンボイムのご健康の回復を節にお祈りします。