続パスカルの葦笛のブログ

FMラジオやテレビやCDのクラシック音楽の放送批評に特化したブログです。

4年ぶり小沢征爾指揮SKOのベートーベン・エグモント序曲

2022年11月25日、長野で小沢征爾が4年ぶりに指揮をしてベートーベンのエグモント序曲が演奏された。というニュースがNBS長野放送ニュースが流された。親切にも小沢征爾公式チャンネルで2022年12月1日に全曲が公開されるという。


ベートーベン作曲エグモント序曲小沢征爾指揮斎藤記念オーケストラ(SKO)(2022・11・25)


小澤征爾公式チャンネルでは、今もエグモント序曲全曲の演奏が聞ける。


この演奏は小沢征爾の絵ずらばかりの演奏ではなかった。同じ壮年期のエグモント序曲の演奏が残っているわけだし、もう小沢征爾の詳細な練習などはなく、誰かが前の演奏を元に練習を施したわけだが、それで終わらないのが不思議な所なのだろう。


テインパニの素晴らしい音色が魅力であった。


例えば、14小節のフルートで、今回は14小節一杯クレッシェンドで引っ張って、15小節の第一バイオリンの1拍に引き継がれたが、前回は14小節のフルートの4分音符でpに弱められて、そこから第一バイオリンの音が聞こえる算段にしていた。ここから段々てんぽが落とされてゆくのである。


23小節から一段とテンポが落とされ、24小節の第一バイオリンでラレンタンドを掛けられた。
ここで小澤征爾はかなり大胆なラレンタンドにして、目だったテンポの落ちをしていた。それは次の25小節のAllegroを踏まえたもので、そこで一転してアッチェレランド(加速)するのだった。


42小節のコントラバスの強調も目立った。50小節まで続いた。


120,122小節の低弦のpをfに直していた。162小節のコントラバスの強調も尋常ではない。176小節でも強調された。


278小節のバイオリンで、音型が下降するので音が弱まりがちだが、むしろ小沢征爾はクレッシェンドを掛けて音量を倍増する。
なおかつ8分音符にフェルマータを掛けて長く引っ張ってクレッシェンドを効果的に出している。この脚色は小沢は定番で常にやっているようだ。


313-314小節のコントラバスをfないしffで強調していて巧みであった。


内容的には充実した演奏を提供していた。怪我から復帰したクレンペラーはかような指揮振りだったようで、まさに怪我の功名といったところか。


NBS長野放送ニュースの音が素晴らしく、そちらの映像と録音で聴きたいほどだ。著作権の事情で全曲放送は不可なのだろうが、1,2分の演奏ながら名演は確証された。