続パスカルの葦笛のブログ

FMラジオやテレビやCDのクラシック音楽の放送批評に特化したブログです。

続パスカルの葦笛のブログの新着ブログ記事

  • グレン・グールドと『草枕』(3)戦後3人の新人グールド・ウォーホル・ディラン

    トランプによって分断ということが言われるようになったが、地方と都市の分断は古今東西あったわけで、漱石の『三四郎』やトマス・ウルフの小説はそれを扱っている。地方から首都に上京する若者は余りの文化格差に驚き、この街で頭角を現せるのだろうかと悩む。( 意外に人間の味覚は全国統一されず地方の特色が生かされ... 続きをみる

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  • グレン・グールドと『草枕』(2)グールドとバーンスタインの対決

    1962年4月6日のニューヨーク・フィル定期演奏会で、グレン・グールドとバーンスタイン指揮ニューヨーク・フィルでブラームスのピアノ協奏曲1番が演奏された。演奏開始前に前代未聞のバーンスタインのスピーチがおこなられて、グールドは舞台裏で苦笑していたという。今ではそのスピーチ全文すら入ったライブ録音が... 続きをみる

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  • グレン・グールドと『草枕』(1)

    1964年コンサート活動から引退しスタジオ録音だけになったが、1967年カナダのアンティゴニッシュからトロントに帰る列車で、同じ列車に乗車したフォレイという大学教授が自己紹介し話してもいいかととずねてきた。グレン・グールドは了解し、彼と雑談を始めた。その話の出だしが今読んでいた英訳された漱石の『草... 続きをみる

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  • 古楽に接近したアバド指揮モーツアルト管弦楽団の『ハフナー』

    アバド(1933-2014)は晩年の2004年にイタリアにモーツアルト管弦楽団を設立して、一連のモーツアルトの交響曲の録音をした。ある面ではモーツアルトの交響曲の演奏の総仕上げであったわけだが、フアンの予想に反して円熟ではなくて古楽器奏法というアバンギャルドへの転向表明であった。 アバド73才の転... 続きをみる

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  • 『コーダの思想』ホーネック指揮フランクフルト放送交響楽団のドボ8番

    ドイツのオーケストラの公開配信の充実ぶりが凄い。日本人はブランド志向だから絶対に認めないのだろうが、これもバルセロナのオーケストラの公開配信で、ポリーニ父子共演のベートーベンのピアノ協奏曲5番の演奏が凄い。何種類かの『皇帝』のポリーニの演奏中でポリーニが一番乗っている演奏だ。スペインの地方オーケス... 続きをみる

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  • 楽譜にない装飾音符を演奏したヘルベッヘ指揮フランクフルト放送交響楽団のモーツアルト38番プラハ

    これはフランクフルト放送交響楽団の公開配信したユーチューブで、この手のものは意外に名演がある。古楽器奏法の大家ヘルベッヘの指揮で、モーツアルトの交響曲38番プラハの演奏だが、ヘルベッヘの指揮が見られるというのもお宝映像ながら、最大の見っけ物があった。 モーツアルトの交響曲の第三楽章メヌエットでは、... 続きをみる

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  • 尾高忠明指揮大阪フィルのヴァーグナー『神々の黄昏』葬送行進曲

    尾高忠明はウェールズBBC響でプロミス・デビューをはたしたが、その時のプログラムがヴァーグナーの『神々の黄昏』から「夜明けとジークフリートのラインの旅、葬送行進曲、ブリュンヒルデの自己犠牲」の抜粋であった。この演奏は大変な評判となり、CDになった。大阪フィルでもぜひ紹介したいプログラムだったそうで... 続きをみる

  • ラハリ・シャニ指揮PMFオーケストラの『オベロン』序曲

    おまけ。 ウェーバー作曲歌劇『オベロン』序曲。音楽は付け足しではなく、極上の演奏であった。10-15小節は楽譜にないドイツの伝統的な慣習法に基づくテインパニの加筆があった。 左頁11小節のチェロの3つのピチカートをテインパニで打たせていた。 ここは伝統的な奏法では、最初のピチカートのみがテインパニ... 続きをみる

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  • 旨過ぎるラハル・シャニ指揮PMFオーケストラのブラ2番

    ラハル・シャニ(1989-)、もう既に巨匠の域に達している。これから発展すると何処まで成長するのか。それを考えるとそら恐ろしい気がする。 今年の名演年間ベストテンの第一位と言っても過言ではないだろう。 第一楽章の10小節からのホルンの旋律線を強調するのだが、その下部の13小節のチエロの旋律線を歌わ... 続きをみる

  • 大野和士指揮宮崎国際音楽祭管弦楽団のドビュシー『海』

    大野和士にとっては手慣れた名曲の安定した演奏ということになろう。 第一楽章の8の6-9小節は、改訂版ではなく初版の楽譜を使用していて、テインパニに加筆があった。それにしてはややテインパニの音は控えめに打たれていた。 9以下の弦の処理は流石と言うべきか流れた演奏である。 ところでコーダの15の2小節... 続きをみる

  • ラベル自身の『ボレロ』初演は某日本人作曲家の前座だった。

    日本の作曲家高木東六(1904-2006)は、当時パリ留学中で、ラベル自身の指揮で初演に出会っている。 ラベルの伝記では初演は絶賛されたことになっている。高木東六は、回想録で聴衆の半分は半信半疑で扱いに困惑していて、半分は否定的な反応であったという。当時の聴衆には理解出来なかったのだ。 実はこの演... 続きをみる

  • ノリントン指揮シュトゥットガルト放送交響楽団の『田園』

    ロジャー・ノリントンがシュトゥットガルト放送交響楽団(1998-2011)で、ベートーベン交響曲6番『田園』を演奏した2002年ライブ録音である。2021年11月に引退したので、最も脂が乗りきった頃の演奏ということになる。ピリオド奏法の全盛期で、もう20年が経過した。鈴木雅人が古楽器楽団を解散し、... 続きをみる

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  • へそ曲がり大王エーリッヒ・クライバーの『グレイト』の名演2

    シューベルトの交響曲8番『グレイト』の名演は、フルトヴェングラーとクナッパーツブッシュということになるが、そこにエーリッヒ・クライバーを入れて、この名曲を論じるとき、この三人の指揮者は論じなければどうしても手抜かりということになろう。 どうしてエーリッヒ・クライバーが抜け落ちたのだろうか。とりわけ... 続きをみる

  • へそ曲がり大王エーリッヒ・クライバーの『グレイト』の名演1

    エーリッヒ・クライバー指揮北ドイツ放送交響楽団の1954年の演奏は究極の『グレイト』と言ってもいいかもしれない名演だ。ベームが親父も変わった男だったと語っていたが、親子鷹でもあれば親子変人だったことも分かる。そして父親があれほどまでに名演をものしたのだから、カルロス・クライバーにも向いていた音楽で... 続きをみる

  • 円熟の進化目覚ましい広上淳一指揮アンサンブル金沢の『エロイカ』

    広上淳一のアンサンブル金沢に転出したお披露目公演としては『エロイカ』の演奏は成功したものであろう。円熟の進化目覚しい演奏であった。 第一楽章が、今日では小数派になってしまった反復を実行していたのも好ましかった。 319小節のテインパニで、後半からクレッシェンドしていたのが注目された。 この部分はワ... 続きをみる

  • 知の巨人外山滋比古「家ついて行っていいですか」出演か?

    『思考の整理学』で有名な外山滋比古(1923-2020)が12チャンネルの「家ついって行っていいですか」に出演したようだ。死去する数年前、小岩井駅前のインタビューで尋ねられていたようだ。かなり体格の良い人で、フチ眼鏡を掛けていたので、間違いないと思う。この人死ぬ年までNHKにも出演していて元気だっ... 続きをみる

  • フルトヴェングラーウラニア盤『エロイカ』名演説の根拠

    第二次大戦末期のドイツでは、録音技術が発展して鉄線に録音する技術が発明された。やがて素材の鉄線が伸縮力に脆いので、素材が開発され化学繊維や日本のソニーは和紙が使われるようになった。テープに鉄粉を付着させたのである。しかし一貫して使用されたのが鉄粉で、鉄分と磁気の関係が録音再生の元になった。 その研... 続きをみる

  • アンスネスの指揮&ピアノでモーツアルト24番の紙上演奏会

    2010・3・21の東京オペラシティでの演奏会。 モーツアルト交響曲35番ハフナー、ピアノ協奏曲23番、グリーグホルベア組曲、モーツアルトピアノ協奏曲24番。 アンスネス指揮&ピアノ、ノルウェー室内管弦楽団。 2020・10・9の東京オペラシティでの演奏会。(中止) 2022・9・30、10・1の... 続きをみる

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  • ゲルゲイ・マダラシュ指揮トリノRAI国立交響楽団のハイドン変奏曲

    ゲルゲイ・マダラシュ(1984-)はハンガリーの指揮者で、ベルギーのリエージュ・フィルの音楽監督である。イタリアのオーケストラでブラームスのハイドン変奏曲を演奏した。 さて、何の脈絡のない音楽であるはずだが、昨年NHK交響楽団をデスピノーサ(1978-)が同じハイドン変奏曲を指揮して大変な名演をも... 続きをみる

  • アーベントロートの至芸を伝承したルイージ指揮NHK交響楽団のベートーベン・バイオリン協奏曲

    ブラームスの2番は肩透かしを食った演奏でした。というわけで、前半のプログラムのベートーベンのバイオリン協奏曲を論じます。これは名演でした。今では珍しいアーベントロートの名演を受け継いだ金無垢のドイツ正統派の傑作であった。 第一楽章の17小節の第一バイオリンの3つの8分音符をpで演奏したした時、身が... 続きをみる

  • ウィーン・フィルの呪われたベートーベン交響曲全集の歴史

    今の所最も理想形のフルトヴェングラー指揮ウィーン・フィルのベートーベン交響曲全集。 1 ワインガルトナー指揮ウィーン・フィルのベートーベン交響曲全集(1927-1938)。  当初はウィーン・フィルで全曲録音する予定であったが、ワインガルトナーの意向でロンドンのオーケストラを使用して完結した。ベー... 続きをみる

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  • リヒアルト・シュトラウス、ドレスデンの至芸を披露するルイージ指揮NHK交響楽団の『ドンファン』

    ベートーベンのヴァイオリン協奏曲ではソリストはコンサートマスターの席に座って演奏するのが伝統であるとか、ドレスデン国立歌劇場管弦楽団には様々の伝統が生きている。ベートーベンの8番、ブラームスの4番もこのオーケストラ独自の楽譜がある。ホルンはベルリーズ由来の楽器が使用される。ディドローの『百科事典』... 続きをみる

  • 小沢征爾指揮ドレスデン国立歌劇場管弦楽団のブラ1ザルツブルグ音楽祭1976年

    この演奏から後期小沢の演奏が始まる記念碑的演奏である。それまでは現代音楽の旗手だが、決して古典派の作品を得意としていたわけではなかった。現代音楽が小沢の左顔だとすれば、古典派の音楽の小沢の右顔は付け足しのようなものだった。全体像は現代音楽の旗手だ。それで世に出た人だからだが大成功だ。 ところでマル... 続きをみる

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  • スウィトナーとバイロイト音楽祭管弦楽団の正体

    スウィトナー(1922-2010)の息子イゴール・ハイツマンが監督した『父の音楽指揮者スィトナーの人生』(2007)というドキメンタリーがかなりの衝撃がある。正妻がいて、息子イゴール・ハイツマンとその母がいて、詰まる所『火宅の人』だったのである。 そうなると「前の人の子と別れて」結婚してくれという... 続きをみる

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  • ルイージ指揮NHK交響楽団のヴェルディ『レクイエム』

    今回のNHK交響楽団のヴェルディ『レクイエム』はルイージの勉強不足なのではないか。唯一救われたのが脱トスカニーニ色だろう。コマーシャルでも使われる第二曲「ディエス・イレ」の冒頭アレグロはトスカニーニの伝統の2小節アダージオ3小節からアレグロという演奏を排して冒頭から速いテンポのアレグロで演奏したこ... 続きをみる

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  • トリオで装飾音符を演奏した祖ルネ・ヤコプスのモーツアルト『ジュピター』

    ルネ・ヤコプス(1946-)がモーツアルトの『ジュピター』を録音したのが2006年で、16年も経過した。モーツアルト演奏の急先鋒を演じてきた。モーツアルトの交響曲第三楽章トリオで、楽譜にない音符を装飾音符で演奏するという画期的な研究を発表して、モーツアルト演奏を常にリードしてきた。 ヨーロッパのス... 続きをみる

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  • 東海林太郎が大中寅二の『椰子の実』世界初演、1936年7月9日

    1936年(昭和11年)7月9日は奇跡の一日であった。その発端は前日にあった。昼、東京駅の通路を大中寅二は歩いていると、向こうからNHKの洋楽の課長が歩いて来る。かねてより知り合いで、挨拶をして別れた。  その夜、 「大中さん、電話ですよ」という声がした。その頃は固定電話は金持ちのステータスで、自... 続きをみる

  • 東海林太郎の『冬の旅』

    東海林太郎(1898-1972)の『冬の旅』は天下一品であったと、音楽評論家の野村光一は評していた。「なにしろ戦前ドイツ歌曲を学んだ人でヒュッシュの歌唱を範とし、勉学の目標としなかった人は皆無にひとしいと言える位であった」(福原信夫)から、東海林太郎の歌唱もヒュッシュを範にしたものであろう位は想像... 続きをみる

  • ナチスの退廃芸術とゲルハルト・ヒッシュ

    ワイマール共和国の混乱を受けて、ナチスは退廃芸術の粛清に向かいました。理想国家の立て直しがもっかの目標で、その際ハイデガーは大学は総統への絶対奉仕以外にありえないと演説をしました。 この頃ゲルハルト・ヒッシュも音楽奉仕を行い、ナチス党歌『鉤十字の歌』や『ハーゲンクロイツの歌』を吹き込み、新生国家の... 続きをみる

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  • 実は恐ろしいシューベルトの世界

    ドイツの有名なバリトン歌手ゲルハルト・ヒュッシュは、ドイツでは余りにも悲惨な内容なので『冬の旅』は録音拒否にあい、リサイタルや音大の教授で訪れた日本でようやく『冬の旅』が録音出来たと言われている。 日本で録音されたゲルハルト・ヒュッシュの『冬の旅』で、伴奏ピアノは何とマンフレッド・グルリットという... 続きをみる

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  • シューベルト『白鳥の歌』と梶井基次郎『Kの昇天』の関係

    シューベルトと梶井基次郎の関係を、具体的な相関関係で見てゆこう。 シューベルト「海辺にて」「影法師」        梶井基次郎『Kの昇天』 1表題「海辺にて」               私はKをN海岸で知った。  小説の場所設定は海辺ということで、決定的に「海辺にて」の影響があった。 2夕方・月... 続きをみる

  • 梶井基次郎とバリトン歌手ハンス・ドゥハン、名作『Kの昇天』を生んだ。

    戦前オーストリアのバリトン歌手ハンス・ドゥハン(1890-1971)は、シューベルトの歌曲集『白鳥の歌』をレコードの全曲盤として初めて吹き込んだ歌手として知られている。そして何と1997年に新星堂プロデュースとして復刻されていた。(SGR-8217)今でもヤフオクとかメルカリに商品が登場し、最も入... 続きをみる

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  • 梶井基次郎の『Kの昇天』の歌手は誰か?

    梶井基次郎は『Kの昇天』で、シューベルトの歌曲が好きで、口笛で演奏できるくらいになった。歌曲集『白鳥の歌』の12曲「海辺にて」13曲「影法師」(ドッペルゲンガー)の2曲であった。これらのSPレコードを所蔵し愛聴していたらしい。 『Kの昇天』は、N海岸を散歩していると自分そっくりな人物を目撃して衝撃... 続きをみる

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  • ワインガルトナーの考証の凄さ『レオノーレ』序曲2番にホストホルン使用

    今ユーチューブで、クレンペラーの『レオノーレ』序曲3番のフィルハモニア盤とデンマーク放送響盤と立て続けに堪能した次第で、ワインガルトナーの演奏が思い出された。 ワインガルトナーの演奏の凄い点は、ホルンではなくポストホルン(駅馬車の警笛)で演奏していりところだ。モーツアルトはポストホルンの為の音楽を... 続きをみる

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  • あらゆる『ジュピター』の最高峰クレンペラー指揮ウィーン・フィルの『ジュピター』1968ライブ

    クレンペラーのモーツアルト交響曲41番『ジュピター』は定評のある名演だが、1968年ウィーン・フィルのライブは、数多ある『ジュピター』演奏の最高峰に躍り出たと言える。 この頃モーツアルトといえばカール・ベームが最高峰の演奏を示していたわけであるが、クレンペラーの演奏が終わった瞬間のウィーンの聴衆の... 続きをみる

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  • 驚異の90歳現役指揮者三石精一

    指揮者の三石精一(1932-)は今年90歳で、なんと2022年1月30日に東京芸術劇場で指揮をしていた。 プログラムは、チャイコフスキー幻想序曲『ロメオとジュリエット』、グラズノフバレエ音楽『四季』Op67より秋、ショスタコーヴィチ交響曲5番。三石精一指揮東京大学音楽部管弦楽団。         ... 続きをみる

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  • あなどれない指揮者ユロフスキイ指揮ロンドン・フィルの『エロイカ』

    ユロフスキイの来日に合わせて、来日記念盤として発売されたのが、ベートーベン交響曲3番『エロイカ』で、オーケストラはロンドン・フィルである。ロンドン・フィルの自主製作で2014・1・22のライブ録音である。 とはいえ第3楽章までは無音で多分ゲレラルプローベを録音し、第四楽章が演奏会のライブ録音である... 続きをみる

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  • 指揮者マリオ・ヴェンツァーゴ年譜考

    マリオ・ヴェンツァーゴと言っても余り知らないでしょう。ということで、指揮者と明記してみました。一部では知られた指揮者ですし、去年来日して読響を指揮して、得意のブルックナーの3番を指揮しました。34年前にはNHK交響楽団を指揮し、近年NHK・FMでライブも紹介されたので、全く未知の指揮者というわけで... 続きをみる

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  • ケント・ナガノ指揮ベルリンドイツ交響楽団ニコライ・ルガンスキーのブラームスピアノ協奏曲2番

    ヴィルティオーゾ・ピアニストによる協奏曲、特に異はないわけだが、楽譜を改編しないケント・ナガノが大胆にも第一楽章のクラリネットをホルンに変更して演奏させていたのには驚きを隠せない。 ギュンター・ヴァントのリハーサルに参加して、ドイツの伝統的解釈に増々接近しているケント・ナガノは、とうとうドイツの伝... 続きをみる

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  • 小澤征爾の立ち位置にいるチョン・ミヨンフム、後に誰もいない

    2022年小沢征爾は86歳である。大層な高齢である。岩城宏之が没した頃、人は80歳を超えるのは結構大変なもので、その頃やはり大病をしていた小沢征爾の80歳越えが危ぶまれたが、また一山超えた活躍があった。ウィーン・フィルのニューイャー・コンサートの招聘はそういう名誉の一つであろう。CDが100万枚売... 続きをみる

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  • 安倍晋三さんのアバンギャルド人生伝

    山口県長門市に大津聖人と呼ばれた男がいた。村長をしていたが徳が高く、周囲の者から押し出されるように代議士にされた。時代は軍国主義が幅を利かせていたが、この男は反戦平和を唱え、国民党政府を相手とせずという近衛声明に反対して反戦平和を推進しろと迫ったのである。大政翼賛選挙では非推薦八人衆の一人として当... 続きをみる

  • よほど調子が良い時のクレンペラー指揮フィルハーモニア管弦楽団ライブのベト1番1963年

    1963年のライブでステレオ録音で状態は最上である。よほどクレンペラーの調子が良かったのであろう名演である。ベートーベン交響曲1番、第一楽章は緊張がみなぎっている。こういう時のクレンペラーは鬼に金棒である。 第二楽章も素晴らしかった。 91小節からのテインパニ―の演奏は素晴らしかった。 メンゲルベ... 続きをみる

  • クレンペラーは出来不出来の激しい人(近衛秀麿)

    今ユーチューブではクレンペラーのライブが連日紹介されていて、クレンペラーのライブを知らない人には貴重このうえない。 その一つが1966年のクレンペラー指揮ベルリン・フィルによるベートーベン交響曲4番である。 1966年はクレンペラーは西ドイツで一連の演奏会を持っていた。 3月、ケルン放送響 ベート... 続きをみる

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  • クレンペラーの指揮の特徴とは何か

    今『クレンペラー・ドキュメンタリー』(フィロ・プレフスタイン制作)がユーチューブでながさられている。日本語字幕もあり立派なものだ。 『オットー・クレンペラー書簡集』の編者であるアントニー・ビーモントという人のインタビューが出ている。 ワルターが美しさを追及しているのに対して、クレンペラーは「より強... 続きをみる

  • クレンペラーのベルリオーズ『幻想交響曲』考

    1963年9月17・18日、クレンペラーは珍しいフランス物でベルリオーズの『幻想』交響曲を録音している。これは1962年にクレンペラーが演奏会で指揮した時にロンドンの聴衆から熱狂的な歓迎を受けて、翌年に録音することになったという曰く付きの代物であった。 つまりロンドンの聴衆の反応に驚いて、急遽録音... 続きをみる

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  • 直木賞窪美澄『夜に星を放つ』と現代の童話

    直木賞窪美澄『夜に星を放つ』の最後の作は『星の随に』である。星のまにまに、と読ませるらしい。もとより現代では日常的には使われていず死語である。意味は「てんでん、バラバラ、勝手に」ということである。人間は各人てんでん勝手に生きて行動している。そしてバラバラに生活している。そして重要なのは、現代人は自... 続きをみる

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  • 直木賞窪美澄『夜に星を放つ』と妻子に捨てられた男の憂欝

    直木賞窪美澄『夜に星を放つ』の四作目は、「湿りの海」である。ちなみに「湿りの海」とは、トールベロの『湿りの海』という月の裏側の天体をリアルに描いた絵画で、有名だそうである。 冒頭に、夫を捨てて妻子がアメリカに逃げてしまって、未練があって妻子をアメリカまで迎えに行く夢を見たという文章が書かれる。とて... 続きをみる

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  • 直木賞窪美澄『夜に星を放つ』と母の幽霊との生活

    直木賞受賞の窪美澄『夜に星を放つ』の第三作は「真珠星スピカ」である。珍しい題材で、死んだ母が幽霊になって現れて、残された父と娘と生活するという話だ。 オカルトぽい妙な話かと思うと、実は葬式仏教を受け入れている日本人には自然な受け入れやすい癒される話になっている。人が死ぬと49日間は未だ成仏できなく... 続きをみる

  • 直木賞窪美澄『夜に星を放つ』と短編の冴え

    窪美澄の『夜に星を放つ』の二作目「銀紙色のアンタレス」が、短編集で一番技巧が冴えたものであろう。なぜなら登場人物にわざとアンタレスと間違いさせている所に作者の意図があり、そうしないと小説が成立しないからである。この聞きなれないアンタレスという名前を使うところに読者をだまして小説に引き入れる作為もあ... 続きをみる

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  • 直木賞受賞の窪美澄『夜に星を放つ』と向田邦子の再来

    167回直木賞を受賞した窪美澄『夜に星を放つ』。珠玉の短編集。 向田邦子は短編の名手だと言われて、選考委員の水上勉が受賞作を原稿用紙に筆写したといわれるほど絶賛された。凄い人が現れたと噂されたが、それを彷彿とさせるものがある。 そういえば、向田邦子の『思い出トランプ』の「犬小屋」が、窪美澄の『夜に... 続きをみる

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  • 音楽が破綻する寸前の限りない魅力の1970年ライブのクレンペラー・モーツアルト40番

    誰であったか京都の一流料亭でフグの肝を食べて死んだ歌舞伎俳優がいた。それほどフグの肝は旨いらしい。もちろん一流の料理人の調理する料理だ。安心このうえなかろう。 林房雄が鎌倉の海で、自分の釣ったフグを三島由紀夫に料理したら、震えあがって一口も食べなかっいたという。林房雄は自分で食べていたのだろう。キ... 続きをみる

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  • ブレヒトの『異化作用』と1960年のクレンペラーの『エグモント』序曲リハーサル

    ブレヒトの『異化作用』の影響を受けた人にローラン・バルトがいて、フランス革命期に「この野郎」とか「馬鹿野郎」と叫ぶ政治家がいて、これがブレヒトの『異化作用』だと解説している。さしずめ日本の小梅太夫の「畜生」と叫ぶのがブレヒトの『異化作用』の見事な解説だろう。 クラシック音楽の世界で、ブレヒトの『異... 続きをみる

  • カラヤンは人を見る眼がなかった。

    ドキュメンタリー『知られざるカラヤン』で、二番目の妻アニタ・ユーデルマンが、多くの人がカラヤンは人を見る眼がなかったというが、その通りで人材採用すると10人の応募があると選ぶ1人は必ず犯罪者なのである。 つまりカラヤンはそれだけ芸術家が勝った人だったということだ。 『バカの壁』で有名な養老孟司が、... 続きをみる

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  • バイロイト音楽祭1965年のクレンペラー

    1965年のバイロイト音楽祭にウィラント・ワーグナーに招待されたクレンペラーは、どんな演目を見たか。 『パルジファル』指揮クリュイタンス 『リング』指揮ベーム 『タンホイザー』指揮クリュイタンス 『さまよえるオランダ人』指揮スウィトナー さて、以上の中でクレンペラー.はどれを観劇したか。悩ましい問... 続きをみる

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  • バイロイト音楽祭とクレンペラー

    人にはなるほど運・不運があるようだ。              1 1959年のバイロイト音楽祭では、クレンペラーは『マイスタージンガー』の指揮が予定されていた。1958年10月に三度目の火傷で一年間仕事が出来なくなって、1959年の『マイスタージンガー』の指揮は出来なくなってしまった。代行はライ... 続きをみる

  • デ・サバータの指揮法

    NHKラジオのイタリア語放送を聞いていたら、ゲストはイタリア人指揮者で、有名なイタリアの指揮者デ・サバ―タの練習風景を見ることになり、それを見て指揮する秘訣を知ったというのだ。 大変面白い話の内容であった。デ・サバータが練習したのはプッチーニのオペラであった。あるフレーズの演奏であったが、ラララ、... 続きをみる

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  • 前代未聞の歌う指揮者バーバラ・ハンニガン指揮デンマーク放響のマーラー4番

    バーバラ・ハンニガン(1971-)はソプラノ歌手で指揮者という異色な存在である。多分本番は第四楽章で器楽部分は付け足しということになるのだろうと思いきや、純然たるマーラー指揮者の演奏であった。というよりプロの指揮者のマーラーの演奏であった。 ということで本番の声楽部分はいささかげんなりとさせられた... 続きをみる

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  • レイフ・オヴェ・アンスネス指揮ピアノ・スウェーデン放響でモーツアルト24番

    ともかく情報量の多い演奏である。アンスネス(1970-)はモーツアルト研究では造詣が深い。 ラルゲット(中間楽章)で、14小節で明らかに楽譜にない装飾音符を演奏していた。 それは62小節のオーケストラからピアノ・ソロに経過する所でラレンタンドでテンポを落としてピアノソロに入り、67-69小節でも楽... 続きをみる

  • アニヤ・ビールマイヤー指揮フィンランド放響でシューマン4番

    なかなか批評しにくい演奏である。交通整理が行き届いていて、オーケストラを鳴らすように仕組まれた演奏であった。第二楽章のバイオリン・ソロは指定がpなので、どうも沈んでしまった感があったが、慣例はピッチが高いか、pの演奏ではないのだろう。 アニヤ・ビールマイヤー(1978-)は昨日のコロンの後任として... 続きをみる

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  • ヨーロッパ最先端の流行を取り入れたコロン指揮フィンランド放響の『ジュピター』

    今ヨーロッパではルネ・ヤコブスとピションが最先端のモーツアルト像を描き出すと言われている。 コロン(1983-)は既成オーケストラでピリオド・オーケストラに様変わりさせたのも凄い。 なにより凄いのはピションの最先端のモーツアルト像を再現させた手腕だろう。 第一楽章が一番力が入り成功していた。 21... 続きをみる

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  • ポリーニ父子共演のベートーベン『皇帝』

    2014・11・14スペインのガリシア交響楽団で、息子ポリーニ指揮でマウリッツオ・ポリーニのピアノでベートーベンのピアノ協奏曲5番『皇帝』がユーチューブで配信されている。ポリーニ72歳、最新の現状報告ではあるまいか。もうすっかり老人だ。今年は生誕80歳祝賀でCDなども出ているが、回顧的なものだ。 ... 続きをみる

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  • ポランスキーの『オフィッサー・アンド・スパイ』町山智浩・内田樹対談を見て

    町山のカフカ文学はユダヤ人の被害妄想癖なのだという指摘が凄い。変身願望はそこから逃げたいという願望である。絶望名言の人は、カフカは人間が芋虫に変身して会社や学校に行って嫌な仕事をさせられることを拒否する口実の変身願望なのだという指摘と共通する。 町山はポランスキーは何処に行っても嫌われる性癖(少女... 続きをみる

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  • メンゲルベルクのベートーベン交響曲3番(2)

    第二楽章。 97小節のテインパニで注目されるのが、ここの演奏の解釈が、9番フィナーレのテインパニのリタルランドの終わり方は余りにも有名なのだが、その解釈の原型がここにあった。という指摘である。 3つ目の16分音の連符の最後にアクセントが置かれ、4つ目にリタルランドが掛けられる。これは正に第九のフィ... 続きをみる

  • クラシック音楽館エッシェンバッハのベト7番を見る

    聞くと見るとでは大違いとはこのことだ。エッシェンバッハのベートーベンはほぼ原曲通りの二管編であった。バイオリンも5プルトで編成としては小型だろう。 多分ユロフスキ指揮ベルリン放送交響楽団のマーラー版は編成は大編成であったのだろう。 これではマーラー版とは言えないかも知れない。 だだし、エッシェンバ... 続きをみる

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  • メンゲルベルクのベートーベン交響曲3番(1)

    このエロイカは、全集版のエロイカ(1940・11・11)のスタジオ録音ではなく、1942・3・5の録音である。 この頃の録音はスタジオ録音だからレコード録音のために素晴らしい音で録音されているかというと、必ずしもそうではないのが不思議なところである。 当時はライブ録音に失敗したために、数か月後改め... 続きをみる

  • 小泉和裕指揮名古屋フィルの『アルプス』交響曲

    ドビッシーが海の作曲家だといえば、リヒアルト・シュトラウスは山の作曲家だろう。もう一つ、この二人は葛飾北斎の版画に基ずく音楽を作曲している。ドビッッシーの交響詩『海』だ。品川沖からの富士山をえがいた。リヒアルト・シュトラウスは皇紀2600年祝典序曲で、別名交響詩『赤富士』だ。 近衛秀麿は皇紀260... 続きをみる

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  • フルトベングラーの『運命』1947年5月25日説と5月27日説の解決策

    フルトベングラーの戦後復帰の初日が5月27日で大いに感動してしまってから、実は初日は2日前の5月25日だった。伝説に包まれて感激のバイアスを増幅して反応したら、虚実だったと知らされた。あの感激はどうしてくれるのだ。騙されて感動したのか。 今アメリカではワシントン・ポストもニューヨーク・タイムズでも... 続きをみる

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  • ルイージ指揮NHK交響楽団の『シェヘラザード』

    リムスキ=コルザコフの『シェヘラザーッド』は基本的にはストコフスキーの演奏がリーディング・ケースになっているのであるが、ルイージはその影響は全くなかった。 第三楽章の「若き王子と若き王女」で、ようやく強調される主題が浮上してきた。 126小節のバイオリンの2つの8分音符と付点8分音符にかなりデフォ... 続きをみる

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  • バイロイト音楽祭を訪れた日本人(12)高木卓

    高木卓(1907-1974)はワーグナー学者の第一世代で、戦前戦後のワーグナー物の第一人者であった。ワーグナーの歌劇台本や評論や小説の翻訳を手掛けた。 トスカニーニやフルトベングラーですら、ワーグナーの序曲で演奏会を開いて、これを是としていたわけである。長い間ワーグナーの理解は欧米ですら序曲で代行... 続きをみる

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  • 真にユニークな解釈のメヌエットルイージ指揮NHK交響楽団のベト8番

    ニューヨーク・タイムズの音楽記者ハラルド・ショーンバーグは小型録音機で演奏会を録音すると、ホテルに走り戻って録音を反復して音楽批評を書くのだそうだ。印象批評を脱して客観批評を確立した先駆者の種明かしである。(これは違法録音。) その点はリスナーは個人で楽しむ分は許されるわけだ。第一楽章のルイージの... 続きをみる

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  • ラハフ・シャニ指揮ロッテルダム・フィルのチャイコ5番

    多分ゲルギエフの罷免の代行がラハフ・シャニなのだろう。そういう意味では極めて今日的なニュース的な演奏会だ。場所がルーマニアときているから、20日後にウクライナの戦火に見舞われるとは思わない。 大変面白いのはオランダのオーケストラで、メンゲルベルクのアーテイキュレーション(色付け)は今日でも通用する... 続きをみる

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  • オットー・タウスク指揮ベルギー国立管弦楽団で『ジークフリード牧歌』

    ワーグナーの『ジークフリード牧歌』が、フリードリッヒ・ニーチェの命名であることは余り知られていない。 1 ジークフリード牧歌Siegfried-Pastoral.(ワーグナーの命名) 2 ジークフリード牧歌Siegfried-Idyll.(ニーチェの命名) 牧歌(パストラール)は古代ギリシャ以来の... 続きをみる

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  • 侮れないクレメンス・クラウス指揮VPOの『ジュピター』

    この人は何故VPOに持てるのか不思議でならない。ワーグナーの『指環』など噴飯ものだろうが、どういう意味で重用されるのか不思議でならない。 さて、面白いのは東西で、モーツアルト嫌いの貴族で、ウィーンで観劇日記を残していて演目が貴重なモーツアルト資料になっているのだが、大名で歌舞伎の膨大な観劇日記を付... 続きをみる

  • フルトベングラーの影響を受けたヤノフスキ指揮NHK交響楽団の『グレイト』

    83歳の巨匠ヤノフスキは増々ロマン主義と円熟を増している。フルトベングラーの衣鉢を継ぐことをもはや隠さないのである。堂々とその影響を告白した名演だ。シューベルトの交響曲8番はそんな名演であった。 第一楽章。 それは先ず566小節のテンパニに現れた。 新全集版では566-567小節はトレモロではなく... 続きをみる

  • 沼尻竜典指揮日本センチュリーでメンデ3番

    NHKFMのクラシック・カフェで、沼尻竜典指揮日本センチュリー交響楽団で、メンデルスゾーン交響曲3番スコットランドの放送があった。いわばクラシック音楽の選ばれし名曲中の名曲、名演奏中の名演奏といったものをNHKの権威を賭けて紹介する番組でる。 安易に選んでノルマで消化するたれ流し番組ではない。 そ... 続きをみる

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  • キャピトル盤エロイカはメンゲルベルクの追悼盤だった

    1940年3月5日演奏のエロイカは、ターラの発掘調査で陽の目を見た未発表録音と言われている。だが戦後アメリカのキャピトル・レコードからLPで発売されていたらしい。 テレフンケンの音源だがアメリカのキャピトル・レコードから発売されたものの印刷ラベルである。long piayの文字があり、片面に1,2... 続きをみる

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  • 第九フィナーレ考、メンゲルベルクが早いか近衛秀麿が早いか

    メンゲルベルクの第九フィナーレの終結のリタルランドだが、メンゲルベルク愛好家でも意外に拒否反応が強いらしい。人は好みだから、好き嫌いは自由ということに尽きる。 私はメンゲルベルクの芸術観の最高峰の結論だと思う。その判定基準は、メニーイン指揮ワルソビアによる全集で、やはり第九フィナーレをメンゲルベル... 続きをみる

  • テンシュテット=マズア対談異聞

    かつて『レコ芸』に、テンシュテットとマズアとがニューヨークで落ち合ってバーの一隅で対話したという対談が掲載された。貴重な資料である。マズアがニューヨーク・フィルの常任指揮者をしていた時期、テンシュテットも頻繁にアメリカ公演があった。ちょうど2人がニューヨークで遭遇したという貴重な時間があった。 マ... 続きをみる

  • 野村光一

    NHKFMに昔、音楽時評という番組があった。他に演劇と映画があった。ここ一カ月の音楽会を月遅れで総括批評する。 出演者は大木正興、野村光一、吉田秀和、遠山一行である。 今もって記憶に残るものが2つある。1つは、野村光一、吉田秀和、遠山一行の三人が出席した時のものだ。この時はどういうものか野村光一を... 続きをみる

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  • 橋下徹=百田尚樹論争とクラシック音楽館の『運命』

    NHKは2022・4・19にウクライナ避難民のインタビューで字幕改変をしたという指摘があった。「我々が勝利することを祈る。ウクライナに栄光あれ」を、「今は大変だけど平和になるように祈っている」と誤訳したらしい。今回またウクライナの戦争勝利をウクライナの平和に誤訳した。 「ウクライナに平和」のスロー... 続きをみる

  • 河上徹太郎

    河上徹太郎といえば『日本のアウトサイダー』が代表作で、コリン・ウイルソンのパクリは明白である。さしたる傑作も残さなかった文芸評論家といったところか。だから遠山一行が大尊敬している聞くと、そんなところがあったかと懐疑的になる。 ところがこの人現代ロシア文学の『悪魔物語』が英米で話題になっていると、英... 続きをみる

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  • 大滝秀治恐るべし、ウェーバーのコンチェルトシュトック

    ウェーバーのコンチェルトシュトック(小協奏曲)という曲がある。今もってポピュラーな曲になっていないが、名曲である。 何故かフランスのピアニストのカサドジュがお気に入りで、二度ばかり録音している。二度目の録音が1952年に、セル指揮クリーブランド管弦楽団で行われている。そのレコードの発売で、付録に楽... 続きをみる

  • ベートーベン主義者内田義彦と宇野重吉

    宇野重吉は自宅には誰も上げなかったという。完全なプライベートの世界で、そこに演劇人を上げる気にはならなかったらしい。奈良岡朋子や有馬稲子も上げなかった。 この人は大変な趣味人で、地方巡業で、楽屋でダイコンとイカの煮物をしていて焦してしまった。ダイコンが真っ黒に炭化して炭になった。「家に帰ってお茶で... 続きをみる

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  • ブロムシュテット指揮ウィーン・フィルのブラームス交響曲4番

    ブロムシュテットはこの交響曲をアンサンブルだけで聞かせるのかと危ぶんでいたが、第三楽章に突入するや期待通りの爆発を起こした。 第三楽章、298小節のホルンのコラールで、ブロムシュテットは突如変化球を投げ始めた。 298小節ではfpの記号が見えるが、ブロムシュテットはfで強奏すると、299小節からp... 続きをみる

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  • セレニテ(清純)の極みブロムシュテット指揮ウィーン・フィルのブルックナー4番

    マルケビッチのマスターコースに出た時、子供のバレンボイムもいて相手にされなかったが、唯一ブロムシュテットだけがまともに扱ってくれた。このコースから有名になったのはこの二人だけで、今もって生きているという類稀な二人である。 この後の人生コースは光と影の雲泥の差があったが、長生きすることでどっこいどっ... 続きをみる

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  • アルティノグリュ指揮ウィーン・フィルのフランク交響曲

    とうとうプロの指揮者にフルトベングラーの信奉者が現れた感がする。フルトベングラー指揮ウィーン・フィルによるフランク交響曲の音質の悪い録音があるが、ステレオで聞いている感がする。その場に立ち会えば、きっとこんな感覚で聞けたのではないか。 オーケストラは同じウィーン・フィルである。同じオーケストラでフ... 続きをみる

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  • バーンスタインの秘蔵っ子オルソップ巨人で頭角を現す

    バーンスタインがマリン・オルソップについて尋ねられて「そのうち出て来る」と答えたと言う。長い低迷の時期才能が危ぶられた時の答えだった。才気が発揮されるには長い醸造期間がかかった。天然醸造は発酵にかかるわけだ。 今は相手にされないが、やがて相手にされる。今それが来たことが明白になった。マリン・オルソ... 続きをみる

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  • アカデミー賞の『クレッシェンド』・ゲルギェフ・クルレンツィス三題噺

    本年度のアカデミー賞に『クレッシェンド』が受賞したが、日本のマスコミは全く取り上げなかった。指揮者バレンボイムがモデルになった。                   * ゲルギェフはロシアのウクライナ侵略でコテンパンにやられた。それだけプーチンの権力と金力がゲルギェフを作り上げたということか。 2... 続きをみる

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  • エッシェンバッハ指揮NHK交響楽団マーラー交響曲5番

    一般的に妻アルマとの愛に満ちた幸福な時期の交響曲だと言われている。それなのに第一楽章は葬送行進曲で縁起でもないわけだ。そこで結婚は人生の墓場だという格言があり、アルマとの結婚は人生の墓場だったのかなとも考えられる。しかしアルマと結婚してみれば、この交響曲の頂点であるアダージェット楽章で、濃密な愛が... 続きをみる

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  • バイロイト音楽祭を訪れた日本人(11)吉田秀和

    大物といえば吉田秀和が「バイロイト詣で」をしていたことを落としていた。小林秀雄が近代批評を確立した人といわれているが、文学と音楽を橋渡しして両義的な読者を確立した人が吉田秀和である。それまでは文学と音楽(クラシック)は別物で、読者は分かれていた。交流することもなかった。 吉田秀和は二十世紀音楽研究... 続きをみる

  • マーラー編曲版でエッシェンバッハ指揮NHK交響楽団ベト7番白熱ライブ

    マーラー編曲版といえばユーロフスキー指揮ベルリン放送交響楽団のベートーベン交響曲7番の来日公演の超名演があったはずだ。(2019年)エッシェンバッハの今夜のライブ、4楽章連結演奏だ。そこで思い出したのが、ユーロフスキーの来日公演が又連結演奏だったことだ。つまりマーラー編曲版そのものがマーラー指名の... 続きをみる

  • 追悼大町陽一郎指揮東京フィルのベト8番、プフイツナーを彷彿とした名演

    ここで最高傑作はと問われれば、ブラームスのハンガリー舞曲5番の演奏ということになる。それはユーチューブで東大フォイヤーヴェルク管弦楽団の演奏で今だに見える。(2007年録音)何とNHK交響楽団のチェロの名手木越洋が弾いている。どういう関係なのだろう。(ちなみにチョンマゲおじさんが日本のチェロの最高... 続きをみる

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  • 続々ウクライナ危機を音楽で考える。

    映画『赤い闇』が3月ユーチューブで全編見られるようになった。これこそウクライナ危機のおさらいである。1929年の世界恐慌で世界中が不況になったのに、何故かロシアだけが繫栄している。 これは可笑しいと思ったイギリスのジャーナリストが、ロシアに行って謎を解明すると、謎を解く鍵はウクライナと言われる。そ... 続きをみる

  • 続ウクライナ危機を音楽で考える。

    映画『スターリン狂騒曲』の冒頭に、ピアノ協奏曲の演奏会が出てくる。これは半ば実際の史実で、実際にこういう光景があったのである。この光景の演奏の録音が実際にあり、CDとして聞ける。この女流ピアニストはモスクワ音楽院でショスタコービッチと同級生で、このエピソードが『ショスタコービッチ回想録』に出てくる... 続きをみる

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  • 『わが祖国』はウクライナかロシアか、プレトニョフの「モルダウ」

    3月10日の演奏会というから3週間前の演奏会、ウクライナ危機の真っ最中の演奏会である。スメタナの交響詩『わが祖国』は古来より大国への小国の抵抗の意味がある。スメタナにとつての敵はハプスブルク帝国、今は小国ウクライナにとってはロシアである。ロシア人のプレトニョフは如何なる態度を取るか、興味津々である... 続きをみる

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  • ウクライナ危機を音楽で考える。

    ワインガルトナーはロシア人を理解するならラフマニノフのピアノ協奏曲2番を聞けばいいと言ったという。陰鬱で瞑想的な音楽がロシア人の感性を言い現わしているのかも知れない。しかしそれを聞いたからプーチンの内面が理解出来るとも思われない。                    * そこでもっと解りやすいも... 続きをみる

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  • 謎が解けたメンゲルベルクのベートーベン交響曲8番

    メンゲルベルクのベートーベン交響曲全集の8番の大胆な演奏に気づかなかった。その謎が解けました。戦前に8番の名演とされたSPレーコードが1938年11月9日録音で、ユーチューブで聞ける。実際に聞いて見たら、第一楽章103小節ダ・カーポは省略され楽譜通りの演奏であった。これを聞いていたわけだ。 メンゲ... 続きをみる

  • メンゲルベルクのベートーベン交響曲8番

    1940年4月メンベルベルクはアムステルダムでベートーベン交響曲全曲演奏会を開催した。その中の交響曲8番の演奏であるが、以前にも聞いた覚えがあるのだが、全く忘れていた事に気づいて愕然とした。あるいは浅学のため以前は全く気が付かなかったのかも知れない。 不覚といおうか、馬鹿であった。 第一楽章、10... 続きをみる

  • バイロイト音楽祭を訪れた日本人(10)古市憲寿

    9古市憲寿(1985-) 社会学者。2018年、三枝成彰の誘いで、バイロイト音楽祭を訪れた。 これで終わりです。(了)

  • バイロイト音楽祭を訪れた日本人(9)林真理子

    8林真理子(1954-) 直木賞作家。三枝成彰に誘われてバイロイト音楽祭を訪れた。2013年のことである。

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